第3章 保存活用への思い
3-1 ワークショップ2]「アイデアの自由討議」
(1) ワークショップの概要
1] ワークショップの方法
くまとり煉瓦工場調査団・第2回ワークショップを9月12日(上)に開催し、37名の参加者があった。今回のワークショップのテーマは「旧中林綿布工場保存活用のアイデア自由討議と煉瓦工場の保存活用事例」で、工場の保存活用についての基本的な考え方を整理した。
ワークシヨップでは、保存活用の基本的な考え方をできるだけ簡素に書いたカードを一枚ずつ用意し、このカードを選びながら討論を行った。まず、参加者は自分の意見と同じ考え方のカードを選ぶことからはじまる。今回もグループに分かれて討論を行った。自分はなぜそのカードを選んだかを説明し、グループとしてはどのカードを班の意見として出すかを討論するものである。単に多数決にならないように皆で意見を聞きながら進めた。
基本的な考え方を一枚一枚書いたカードを用意し、そのカードにはテーマ毎に色分けしている。テーマは保存活用の目的・ねらい、活用利用のタイプ、利用を考えるときのポイントの3つを設定した。そのテーマ毎に自分の考えに近いものを1つ選ぶ。どのカードにも大切と思われることで、なかなか1枚を選び出すのは難しかった。そしてテーマ毎にグループで討論していく。今回も3つのグループで行った。カードは次のようなものを用意した。
■保存活用の目的・ねらい
・熊取の歴史・文化の継承を第一にする
・もとの繊維産業にこだわった活用を考える
・熊取の活性化のために新しい産業をここで起こす
・外から多くの人が来てもらえる観光地をめざす
・熊取を内外にアピールする顔づくりにする
■活用のタイプは
・人がたくさん集まれるところにする
・世代を越えた交流の場とする
・地域の暮らしに役立つものを
・住民によるまちづくりの核になるように
・経済的利用(商売)を考えるべきだ
■利用を考えるときのポイント
・周辺の歴史資源を活かしたものを
・水辺等を活かした市民の憩いの場とする
・レンガの魅力を押し出す施設づくりをする
・いろいろ利用できる多目的なものとする
・中途半端はやめて1つ目玉施設で売り出す
2] 保存活用の事例を紹介
グループ討論の後休憩をはさみ、全国にあるレンガ造の建築物の保存活用の事例で紹介した。全国には数多くの歴史的建造物の再生事例がある。公共で行っているもの、第3セクターまたは民間で整備したもの、利用方法は、博物館、美術館、レストラン、店舗やホテルなど様々である。その中で、現在の整備が進む洲本の旧カネボウ紡績工場(レンガ造)の再生事例をワークショップとして見学に行くことを提案する。洲本港に隣接する大規模な煉瓦工場群で、行政と民間とで整備活用を図った事例である。第3セクターで整備した「レストラン御食国(みけつくに)」は、淡路の特産品販売を併設したレストランで、食事も淡路牛や地場のタマネギなどを中心としたメニューを提供している。民間で整備した「アルファビア」は美術館として活用されている。現在、市で整備中の市立図書館も煉瓦建築を活用してのものである。周辺一帯は市民の憩いの場となるように整備されつつある。
3] ワークショップの成果を発表
グループでの討論の様子と成果を発表し、全体討論を行った。そして、これからのワークショップの進め方にも議論となった。熊取の特に地域の地元の人にもっと参加を呼びかけ、できるだけ多くの人の意見を聞いて進めるべきだという意見があり、そのためにできること、例えばワークショップニュースの活用や開催時間の問題など話し合った。