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はじめに

 

「旧中林綿布工場」は泉州の繊維工業の中核を担ってきた歴史をもち、昭和初期には全国屈指の生産を誇ってきたが、昭和40年後半からの繊維不況のなかで平成4年に廃業することとなりました。廃業後取壊しが危惧されていましたが、工場主のご厚意により、工場が敷地共々熊取町に寄贈されるところとなり、保存活用への展望が開けることとなりました。

熊取町ではそれを受けて平成5年に建物調査を実施し、現在保存活用の基本構想の策定を進めているところです。「旧中林綿布工場」は約6,000m2にのぼる大規模建物であり、隣接地は重要文化財の「中家住宅」を始めとする歴史文化ゾーンであることから、その保存活用に当たっては行政だけでなく、広く町民の理解と協力なしには実現は困難と思われます。

本調査では地元、行政、専門家が一体となって調査団を編成し、数度のワークショップを行う中で、工場とその周辺の総合調査を行い、皆の手による保存と活用の提言を行っています。この調査が契機となり、熊取町のまちづくりと連動して、旧中林綿布工場の保全、整備、活用が進んでいくことを期待しています。

調査にあたりましては、ワークショップメンバーとして参加された地元の皆さん、調査委員の先生方、熊取町役場その他の関係者の皆さんに大変お世話になりました。記してお礼申し上げます。

 

平成11年3月 社団法人日本観光協会

 

 

 

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