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小屋組は合掌を地棟でうける単純な形式で、桁行が長いので中柱を2本建てる。外部仕上は軒廻り壁を白壁の鉢巻とし、下部を下見板張りとする。今でも鉢巻部分に鉄金物が残り、昭和50年以前は「ベアズイ」付きの蔵であったことを示している。当主によれば、積雪による軒先落下防止のため「ベアズイ」を撤去し、鉢巻形としたとのことである。言い伝えによれば、建築年代は200年以上前の建物で、町名主??をしていた鍋屋から譲り受け、移築したとのことである。蔵部材の風化程度や、窓部材と板壁等に残る方位番付、さらには非常に緩い屋根勾配(3.5寸)から昔は板葺きの可能性が十分考えられる点などから、移築の言い伝えは間違いないと思われる。

(3) 松田栄彦家土蔵

松田栄彦家は四番通りが八間通りと交差する位置から3軒北側にある。土蔵は主屋と庭を挟んで屋敷の西側の背割り排水路に沿って建つ。土蔵は切妻平入の5寸勾配の瓦葺で、規模は梁間3間・桁行4間の2階建で、棟を南北にもつ。1階は庭側の東面と北面に戸口を開き、2階は西面に2個の窓を開く。内部は1階根太天井、2階化粧屋根裏天井で、ともに土壁で、物置として使用される。小屋組は合掌を地棟でうける単純な形式である。外部仕上は軒廻り壁を漆喰壁、下部を下見板張りとし、軒は「ベアズイ」付きの化粧垂木とする。垂木は平成8年9月に板葺きから瓦葺きに変えた時に、既存漆喰上に新たに母屋とともに置かれたもので、既存の「ベアズイ」が軒先補強のためそのまま利用されている。建築年代は明治32年の火災後に建てられたものと言う。

 

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