4. 越前大野の町家
1) 敷地と家屋配置
越前大野の城下町は、ほぼ32間(約58m)間隔に配された、一番から五番・寺町の六筋の南北筋通し(幅30尺)と、約112m~186m間隔に配された、石灯籠・八間・七間・六間の東西通り等によって、整然と区画されている。先に地図で示したように、南北筋の通りと通りの間には、『背割り』と呼ばれる排水路がある。南北筋の各家の敷地は、間口を通りに向けて短冊形の敷地になっている。通りに面した表間口は3間から5間が基準である。また、通りから背割りまでの奥行は、約16間である。東西筋の通りと通りの間には、背割りはなく、角地を除けば南北と同じく、通りに沿って短冊形の敷地になっている。南北筋・東西筋ともに、間口は3間と5間が多い。南北通りに沿っている家の奥行は、上述したように16間であるが、東西筋の敷地の奥行は、家によって異なる。また、七間通り以外の、東西・南北両筋の角地に建つ家は、南北筋に表を構えるものが多い。以上より、大野城下の町家は、南北に走る通りを基本にして、敷地割されていると考えられる。
2) 主屋の規模
実測調査により、平面図の得られた29棟の主屋の規模を図表-1に示す。間口は3.0間~7.5間、奥行は3.0間~7.5間までみられる。また、間口は3.0間と5.0間が多く、奥行は4.0間と6.5間が多いことがわかる。特に酒屋は間口が5.5間~7.5間、奥行が5.5間~6.5間あり、規模が大きい。
3) 平面形式について(1階)
調査対象は、平面図が得られたうちの29棟である。間口の方向を列で分類し、その模式図を図表-2に示す。平面は、間口方向に何室並ぶかによって、図表-2のように1列型・2列型・8列型に分けることができる。1列型の中には前室が4畳と6畳など2室に分かれているものもある。