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豊かな自然、奥ゆきある文化、

あたたかい人びと

――東北で日本と出会う

 

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東北広域連携観光振興会議

実行委員会会長

宮城県知事 浅野史郎

 

東北地方は、6県を合わせて日本国土の約18%という広さを持ちながら、人口密度は全国平均のおよそ半分であります。つまり、それだけ美しい自然が多く残されているということであります。また、縄文時代、弥生時代の古代から、東北には大きな集落が数多く作られ、そこでは水田農業という当時の最先端の技術と文化が花開いていました。さらには、柳田国男の『遠野物語』にあるように、千年にもならんとする古代からの民俗風習が今に残され、数多くの伝統行事が受け継がれております。江戸時代の俳人芭蕉は、師と仰いだ西行が詠んだ歌の風景に憧れ、西行が見た風景に出会いたい一心で、命を賭して東北へ旅立ちました。いつの時代も都から離れていたからこそ、流行や時代に影響されない「よきもの」が残され、その中にある日本民族の原風景が、多くの人々の心を魅了し続けるのだと申せましょう。

まもなく21世紀を迎えるこの時代にあっては、このような東北の素晴らしい観光資源を守りながらも、国内はもとより、世界にその魅力を伝えるため、次の時代に向けて新たな観光振興の手法も必要になってまいります。国際競争力のある観光地づくりや外客の受入体制の整備、環境やバリアフリーへの対応、観光関連情報提供システムの拡充、そして時代に即した新たな観光魅力の創出など、多くの課題が考えられます。これらの課題を検討するために、これまで10年間行われてきた「90年代観光振興行動計画(TAP90's)」をさらにレベルアップし、「広域連携型」、「地方主体型」、「イベント連携・実体験重視型」の開催方式による初めての会議として「第1回広域連携観光振興会議(東北WAC21)」を開催することになりました。「豊かな自然、奥ゆきある文化、あたたかい人びと――東北で日本と出会う」をテーマに、観光に携わる6県の行政と民間が一致協力し、少しでも多くの方々と一緒に、今後の東北における観光の在り方について考え、次代のヴィジョンを描き、共有する機会としたいと思います。

(東北WAC21プログラムより)

 

 

 

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