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城下町・松江

・ 一方、近世藩政時代に入り、松平氏による230年の繁栄を築いた城下町松江は、松平第7代藩主治郷(不昧公)に代表される「茶の湯」をはじめ、和菓子などや宍道湖七珍の食文化、布志名焼・楽山焼などの伝統工芸等の江戸文化を産み、現代の日常生活に受け継がれている街である。

また、山陰で唯一現存する松江城天守閣や石積み、縦横にめぐらされた掘割、武家屋敷が軒を連ねる塩見縄手(伝統美観保存地区)、あて曲げ辻の街割りなどの建造物等に城下町の面影を色濃く残している。四季折々の移ろいを見せる宍道湖の夕景とあいまって、現代生活に溶け込んでいる情緒豊かな姿は、「水の都」と形容するにふさわしい、日本を代表する都市観光地と言える。

 

・ こうした水辺と堀川・松並木の重なった景観的な要因や、城下町としての都市的スケールのヒューマンスケールにまとまった街全体の雰囲気が、大都市観光では味わえない歩いてめぐる城下町松江ならではの魅力となっている。

 

・ 更に、明治23年、松江に訪れた文豪 ラフカディオ・ハーン(明治29年日本に帰化 小泉八雲と改名)がこよなく愛し、その著書『知られぬ日本の面影(原題・Glimpses of Unfamiliar Japan)』の中で、〈神々の国の首都〉として広く欧米に紹介したように、地元住人のあたたかい人柄や、随所に生活のいぶきが伝わってくるヒューマンスケールの街並みにこそ日本らしさが見いだせるのであり、これこそが城下町松江観光の魅力と言える。

 

新たな観光振興の推進

・ 近年、国際文化観光都市として、こうした多くの歴史的文化的遺産等の貴重な観光資源・施設を後世に引き継ぐことを踏まえて、城下町観光における周辺関連施設等の連続性を図るために、松江市では市営の観光ループバス「ぐるっと松江レイクライン」の運行(平成7年8月)や、和風遊覧船で堀川を周遊する「ぐるっと松江堀川めぐり」の就航(平成9年7月)をするなどの新しい観光事業を推進している。

これらは、パーク&ライド方式による交通渋滞緩和とともに、歩きやすいまちづくりをねらいとした施策の一つであるが、多くの観光客から好評を得ており、松江観光の目玉となっている。

 

・ その他、開発が遅れていた宍道湖湖北地区には、ティファニー美術館に平成13年春開設予定)やフラワーパーク(平成13年開設予定)、なぎさ公園(平成11年度開設予定)など新しい観光拠点の整備により、世界に開かれたロマンあふれる都市として整備を進めている。

 

 

 

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