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力学―熱力学モデルを用いた数値海氷予測モデルを用いて、サハリン全域周辺の海氷予測を試行した。この結果、海氷密接度の予測値は傾向的に実測と一致することが示された。今後はより精密な初期値を用いたモデルの改善が求められる。これらの海氷予測情報は、オホーツク海における資源開発の需要の増大と相俟って、今後ますます重要になるものと推察される。

北欧、ロシア、カナダ、アメリカ等の代表的な海氷機関の現状を調査した。各機関はそれぞれ特有な海氷環境とユーザーに応じた氷情報システムを確立している。海氷の監視手法は、航空機観測に変わって衛星搭載のマイクロ波センサーに変わりつつある。今後の衛星計画によるとこの傾向はさらに強まると予測される。

現状の衛星センサーの問題点を改善するため、海氷監視のための衛星システムのコンセプトを検討した。この検討結果は、将来の海氷監視衛星システムの設計に十分役立つものと予想される。

 

6.2 今後の課題

 

今後の課題として次が考えられる。

・Bootstrapアルゴリズムが、オホーツク海における海氷に適用可能であることが明らかになった。しかし、風の影響等によって輝度温度のずれが生じることがあるほか、エラーデータが存在することが度々あったため、実用化するためにはさらに多周波および多偏波のデータを用いたアルゴリズムを検討していく必要がある。

・今後は大気中の水蒸気や海上風が輝度温度に与える影響を考慮したアルゴリズムを開発することが重要である。

・衛星観測結果と現場海域の海氷状態との比較が、海氷の実態把握にとって重要な 課題であると考えられる。

・今後、より精度の良い本格的な氷況予測に向けては、必要に応じた計算格子の大きさの調整を含むモデルの改善、用いる海氷データ、風データ及び計算パラメーターの精度の向上はもちろんのこと、気象及び衛星観測海氷データなど用いるデータの間のインターフェースや通信手法の確立が重要な課題になると考えられる。

・今後は、計算格子の調整を含むモデルの改善、初期・外力条件となるパラメータの精度向上、およびデータの通信手法の確立等が課題になる。

 

 

 

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