4.2.3 海氷予想の今後
オホーツク海の海氷は船舶の航行に障害になる一方、最近は観光資源として注目されている。
一方、サハリン付近では、大陸棚の石油や天然ガスの開発が進められようとしている。工事や、船舶の航行の安全のため、風などの気象や波浪の予測に加えて、海氷の予測が必要になってくることも考えられる。
インターネット等のパソコン通信を利用すると、気象情報を画像データとして、最新の情報をリアルタイムで送ることができる。
現在、気象や波浪の現況や予測情報の提供が行われている。
将来的には、図4.2.14のような形で、サハリン全域を含むオホーツク海の海氷予測の提供が考えられる。
そのためには、衛星データを用いた1日単位程度のリアルタイムの海氷データと、対象地域の細かい気象予測値(GPV)が求められることになる。
また、本モデルは熱力学過程を考慮しているため、気温変化に伴う海氷の消長を予測することができる。このため、気候変動の海氷への影響を調べることに応用することも考えられる。
参考文献
Hibler,W.D. (1979):A dynamic thermodynamic sea ice model. J.Phys. Oceanogr., 9, 815-846.
岩尾尊徳(1998):数値海氷予想モデル, 測候時報, 65, s99-s105.
海上保安庁(1983):日本近海海流統計図.
気象庁(1997):気象庁海氷観測資料第15号
佐藤清富(1987):オホーツク海海氷の数値モデルによる解析.雪氷,49,193-201.
豊田威信.佐藤清富(1993):オホーツク海南部の数値海氷モデルの感度実験.第8回オホーツク海と海氷に関する国際シンポジウム講演要旨集,オホーツク海・海氷研究グループ。