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第3章 衛星による海氷観測の比較解析*

 

3.1 衛星センサの比較

 

人工衛星による海氷観測は、広域の変化を日々捉えることができるため、海氷の分布を把握するためには有力な観測手段となっている。1999年2月の時点で海氷観測に利用できる人工衛星を表3.1に示す。

 

表3.1 海氷観測に利用できる人工衛星

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数年後には、上記に加えてADEOS2(GLI,AMSR)、ALOS(AVNIR2,PALSAR)、情報衛星4基などの衛星データが利用できるようになる。可視・赤外の光学センサは、雲があるときには海氷観測が不可能となるが、マイクロ波センサに比べて分解能が優れている。逆に、マイクロ波などの電波を用いるセンサは、分解能は光学センサに比べて劣るものの、雲の影響を受けることなく海氷観測が可能であることが大きな特長である。海氷が現れる冬季は、荒天の続くことが多く、天候の影響を受けることなく観測できるマイクロ波センサは海氷観測に最適である。そのためアメリカ、カナダなどの海氷研究機関ではSSMIやRADARSATを用いた海氷解析がルーチン運用されている。

表3.2には、主な人工衛星の観測センサ別の波長、分解能を一覧表としてまとめた。表の中で、JERS1、ADEOSは既に運用を停止していて、過去の観測データのみが利用可能である。表記のように、GMS5とNOAAの可視センサは分解能が約1kmとほぼ同じ性能を持っている。他の地球観測衛星は数十日の回帰周期を持っているため、同一地点を毎日観測することはできないが、分解能が細かいため、海氷の詳細な分布などを解析するためには有効である。

 

*鈴木 靖

 

 

 

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