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3. 結果

神戸コレクションが新たに電子化された1901年〜1932年の期間の、5度×5度の平均値の推定に伴う誤差を評価しよう。1901年〜1932年における、各グリッド点での観測点数の平均は、西太平洋の沿岸部では100を越えるものの、太平洋の広い領域に渡って5から10となっている(Fig.2)。

次に、各グリッド内に存在する気候値の水温変化を東西、南北、時間(月)方向に直線で近似して

 

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として評価する。ただしここで、iは東西方向のグリッド番号、jは南北方向のグリッド番号、tは時間(月)のグリッド番号である。 (5)の係数である1/4は、1/2が中央差分を表現するためであり、さらに1/2が±δTで誤差範囲を表現するためにかけられている。(5)を各月毎に評価しさらに年平均を取った結果をFig. 3に示す。最も勾配の値が大きいのは、南北方向の勾配で、30〜45°N付近で比較的大きな振幅を持つ分布となっている。次に大きいのは時間方向の勾配である。Figure 3は年平均値で示しているが、時間方向の勾配は春および秋に大きいことには季節毎の解析を行ううえでは注意が必要であろう。

Figure 2に示された観測点数と、Fig. 3に示された気候値の変化幅から (4)を用いてδTを求め、更に(3)を用いて各々のグリッド点での誤差を評価する。見積もられた誤差は、北太平洋中央部の30〜45°Nの範囲で0.3〜0.6℃と大きな値を示す。これは南北方向の勾配の振幅分布とよく一致している。ただし誤差は、観測点数の多い150°E以西では比較的小さな値となっている。

 

 

 

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