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また、マクロには通常呼出しと優先呼出しとの間で伝達時間に顕著な差が見られなかったと述べたが、ヒストグラムの形状は、両者で若干異なっている。

優先呼出しにおいて伝達時間が短いものが増えているのは、交換機における優先送信機能が効果を発揮したものと推定される。その意味では、トラヒックが少なかったと言っても、改良の効果が現れたものと判断される。

現状では、一般の利用数がそれほど多くはないため、発信に遅滞が生じる状況が生じないことから、優先処理の効果が顕著には現れなかった。しかし、一旦トラヒックが多くなった場合には、通常呼出しでは伝達時間がより長い方へとシフトするのに対し、優先呼出しでは、今回得られた程度のタイミングで情報を送ることが可能であり、システム改良の効果が発揮されることが期待されるものである。

なお、実験においては、3台のポケットベルに対し、発信側からは一斉呼出しを行って伝達時間の測定を実施したことから、発信端末からアンテナに至るまでの所要時間は、3台とも全く同じである。

そうであるにもかかわらず、図3.1-10、図3.1-11に見るように、最終的に得られた伝達時間に差が生じたのは、ポケットベルの受信端末において、処理時間に差が顕著に生じる可能性があることを示している。ポケットベルの受信端末は、電波状況などが悪く受信情報が不完全であった場合、エラーチェックを行い修正を施すことを試みるとともに、十分に修復できなかったときには、さらに30秒後に送られてくる再送信号(基本的に、現行システムでは同じ情報が2度送信されている)をもとに情報の構築を行っている。そして、エラーなく受信できたと判断した場合に受信音を発することとしている。このような処理に要する時間が個別に異なることから、最終的な伝達時間に差が生じたと判断される。

 

 

 

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