そして温泉文化を考えると、日本には温泉の博物館がない。別府には作る責務があると思う。温泉は、このような歴史を辿り、資源についてこのような問題に直面し、現在はこのように我々は利用しているのだと後世に伝えていかなねばならない。今回のミーティングを通じて来日された方々にも積極的に資料を提供してもらって世界の温泉コーナーも作り、いろんな温泉体験もできるような場を設置すれば素晴らしいと思う。
市民
山村先生は、竹瓦温泉、亀川の浜田温泉に行かれて、あの温泉に入りたいと思われるか。
山村教授(コーディネーター)
建物を外から見た景観は素晴らしい。
市民
私は別府に住んで10年ぐらいになる。最初に「竹瓦温泉は素晴らしい」と言われて行ってみた。しかし、うちの家内は「ニ度と行かない」と言うし、私もニ度と行きたくない。浜田温泉は特にひどい。活性化を図るならば、古風な外観を活かして、施設内も近代化する必要はないと思う。昔のままで結構で、新しい温泉に作り替えることはない。4〜5日前、10億も金をかけて、赤字を承知で温泉を開けたのだが、そういう新規施設に金をまわす前に、昔からある八湯に10億近い金をかければ素晴らしい温泉になると思う。それから、もう1つ。柴石温泉を東京から来た同窓生を連れていったら、「この温泉はいいな」と言われた。ここ1〜2年前に大改築したのだ。それから韓国のチョウさんはご存じだと思うが、ソウルオリンピック開催組織委員長をしていた私の旧制中学時代の同級生が、「昔の温泉に入りたいから」というので、竹瓦に連れていったらダメだった。「こんな温泉に入るのだったら、韓国に立派な温泉はたくさんある」と言われて、情けないと思った。
山村教授(コーディネーター)
竹瓦・浜田、両方の温泉に私も入ったが、特に竹瓦については、そんなに評判は悪くはない。市外から来られた方は、結構、砂湯に入ると「これはユニークだ」と言っている。
しかし、問題はある。例えばドイツのバーデンバーデンだと、温泉から出ようとすると「ちょっと待ちなさい。温泉から出てすぐ歩きだすとは何ごとだ。ちょぅと休憩しなさい」と言われて、休憩させられ、休憩室まである。当然、それは大事なことで、2階を道後温泉の本館のように休憩場にすることは当然考えるべき問題だ。それから浜田温泉の外観は貴重なので、修復して守って欲しい。これが1つの観光資源になるはずだ。もちろん周辺の環境整備も当然必要なことだ。
Kjell MITCHELL氏(米国)
ひとつ私から質問がある。答えは必要ないのだが、別府のみならず日本では共同浴場が極めて安く、そのうえ、北浜だったか、新しい施設が信じられないほど安いと聞いた。こういった公共の建物を建てるだけでも、極めて投資が大きいはずなのに、料金が安い。5〜6年経て、老朽化したらどうやって保守していくのか。私はそれが問題だと恩う。共同温泉、共同浴場があまりにも安いことを考慮いただければと思う。
山村教授(コーディネーター)
確かにその通りで、大変なお金をかけて建てたが、赤字を抱えている施設もあるようだ。当然、そこで利益を上げねばならないことを考えると、どうなっているんだとなるだろう。日本全体で観光施設が沢山作られて、どこも赤字で困っているのに、まだ温泉を掘ったりしている所もある。これに対して温泉の利用を振り返ってみる機会があれば良いと思う。
司会
長時間にわたりありがとうございました。これにて閉会とする。