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山村教授(コーディネーター)

日本にもクアハウスといって同様のプログラムがある。韓国では、温泉保養施設に医者または、訓練を受けたインストラクターが常駐して指導するのか。

 

Kyung-Do CHO氏(韓国)

日本には温泉療法医という指定があるが、韓国では今のところ難しい。そこで上田会長と健康開発財団に依頼し、2年前に下呂温泉の温泉病院では中国で開発された健康診断を行うコンピューターを導入しているが、脈拍や心拍の診断を受け、適切な治療アドバイス、つまりコンピューター診断による温泉療養のプログラムを開発中であり、現在ほぼ完成段階にきている。医者については、日本かヨーロッパで勉強するようにしている。

 

山村教授(コーディネーター)

次に台湾のシェンさん。お願いします。

 

Winston SHEN氏(台湾)

秦の始皇帝が西安の霊山で自らの潰瘍を治癒するために使われたというのが、中国史上最初の温泉利用ではないかと思う。また1987年に考古学者達が唐時代の王宮跡を発掘した時に温泉地も発見された。研究の結果、2100年前の秦の始皇帝の霊山温泉地跡であるとわかった。これが証拠となって中国では2000年以上前から地熱エネルギー、すなわち温泉を利用していたことがわかる。中国の歴史の中では、唐の大宗という皇帝の時代に温泉を司る温泉官(かん)という役所があった。その温泉官は皇帝および皇帝一族のためのみ、つまり高貴な人々のためのみの温泉だったというのが歴史的事実だ。1200年前の南北朝の時代には、温泉はテーマパーク風のもの、あるいは寺院の近くに作られるようになり、幅広い人々が使えるようになった。温泉利用の歴史は、中国において非常に長いが、残念ながら、古代中国の温泉利用は、ほんの一握りの上流階級の人々にのみ使われていて、一般民衆のためのものではなかった。

台湾では、1928年に日本人によって温泉が発見された。彼は台湾の温泉を研究して82カ所の温泉を発見し、大変湯量の多いことがわかった。今日では100以上の温泉があることがわかっている。ほとんどは山岳地帯にあり、ごく一部が河川に沿っている。この温泉の分布は地形的にみて日本と似ていると思う。この60年間を振り返ってみると、台湾の山岳地帯は一般の人々が開発できない地域だったので、開発が難しかった。しかし1947年以降、土地改革などを導入し、わが国は経済発展を遂げ、社会も変革し、生活様式が変わった。これは日本も同様かと思うが、現代人は仕事のストレス、あるいは日常生活のストレスが大きい。だからこのようなストレスから離れたレクリエーション、余暇活動が非常に大きな需要を生み出し、温泉というビジネスが成長するきっかけとなった。またこの10年間で観光業は驚異的な伸びを見せている。平均で400万人/年が海外旅行に出かけている。

これは昨年の実績で、全人口の25%にのばる。つまり4人に1人は海外旅行に出かけているのだ。国内旅行は4800万人で、これだけの人々が台湾各地を旅行するのだから、驚異的な数字といえる。台湾国内の観光資源をいかに開発するかが課題だ。我々は海外からも学び、国内の観光地を開発する必要がある。我々にとってのメリットは豊かな資源に恵まれていることだ。この10年間に初めて開発したわけだから、日本、ニュージーランドなど他の環太平洋地域の国々から、いろいろな事例を学ぶことができ、台湾に必要なものを取り入れることができた。それをスライドを使って説明しよう。

 

 

 

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