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そのために2000年を目指し、新しい温泉地づくりをやっているという話だった。バースそのものは、ユネスコで指定されるほどの文化遺産があるということだった。一つ質問したいのだが、温泉の具体的な施設としては、どのようなものを考えているのか。

 

Paul SIMONS氏(英国)

主にレジャー施設。中にはリラクゼーション用の入浴、スチームルーム、サウナ、マッサージルーム、ジム、スポーツでケガした人も治療できる施設だ。ほかにも一般的なレジャー施設も設備する。これは古い史跡の中に10個の個室・プライベートバスを作り、そこでセラピストによってトリートメントが施される。それから伝統的なヘルスサービスで行うハイドロセラピー。それから指圧などのセラピーも使ったトリートメントもスパの中で行いたい。また薬草トリートメントも行えるだろう。非常に総合的な治療で単なる医療だけではないものだ。

 

山村教授(コーディネーター)

続いて、バーデンバーデンから来られたヤックムートさん。バーデンとはドイツ語で温泉という意味だ。

 

Norbert JACKMUTH氏(ドイツ)

歴史と文化を振り返って見ると、石器時代からキリスト教時代の当初までまさに1万年にわたる期間、さまざまな遺跡が生まれた。そして紀元前1200年くらいからセルト系の避難民がバテルク遺跡を作った。西暦75年から260年までローマ人の移住があった。そこで療養を目的とした温泉が開発された。そして1712年に温泉が開発された。1473年以降、入浴がポピュラーになった。またフリードリッヒ皇帝はバーデンバーデンに来て、療養のために入浴をする習慣があった。1480年、入浴に関する本が発売されるほどだった。

1488年にマルグレープ・クリストフが法令を施行した。それに基づき入浴を法律で管理した。さまざまな規制が敷かれ、訪問者は入浴するのに税金が課税された。現在ではヘルスケアと娯楽のコンビネーションが新しい傾向だ。バーデンバーデンではヘルスケアと娯楽の2つを同時に楽しむことができる。カラカラ浴場は1985年に温泉としてオープンし、当初からたくさんのビジターが訪れている。

平均で1700人の入浴客が毎日訪れる。年間で60万人という入浴者数だ。非常に素晴らしい施設が広がっており、7つの屋内・屋外プールがあり、全部で1000m2の面積だ。温泉水の湧出量は、60万リットルで飲料することも可能だ。温度は摂氏18〜38度。

このカラカラ浴場の中にはアロマスチームバス、サウナも完備され、全部で15のサラリウムがある。非常に短時間で日焼けが可能なユニットだ。またメディカルな面では、マッサージ、海草トリートメント、泥入浴などのさまざまなトリートメントを行える施設が揃っている。年間360日、朝8時から夜10まで営業している。ローマンアイリッシュバスといっているが、実際にはトリートメントに何時間かけても構わない。少なくとも2時間かけて、15段階のトリートメントを受けることが最低限で、それ以上長くてもいい。

これはフリードリッヒスパだが、ヨーロッパでもっともモダンなスパとして、1877年にオープンし、最も長い伝統を持っている。ローマンアイリッシュバスとして、このスパより古いものはイギリスにのみ存在する。ローマ人が2000年前に使ったような温泉、ドライエアバスがある。これは北ヨーロッパ諸国では典型的なものだ。体を温かい乾燥した空気にさらして療養するものだ。

 

 

 

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