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Massimo SABBION氏(イタリア)

医学的な証明は難しいのですが、アバノでは大学の調査結果がありますので、帰国しましたら郵送します。アバノもバーデンバーデンも医師による処方がないと温泉は利用できません。ホテルの経営者として意見を述べますと、別府の総訪問客数の2〜3%を医療目的とすれば、滞在日数が増え、収益の増加にもつながります。

 

(前半終了、市長表敬訪問の後、後半開始)

 

山村教授(コーディネーター)(「日本の温泉地の現状」について説明)

私は別府市の生まれということもあり、大学・大学院では日本及び世界の温泉地の研究しました。今回の参加者の皆さんのまちにも知本温泉を除いて行ったことがあります。明日のシンポジウムでは私が司会を担当しますが、今日は日本の温泉地について説明します。

日本の温泉地は観光旅行において宿泊拠点としての役割を果たしています。最近は観光旅行の単位が小グループ化し、各旅行者の嗜好が多様化してきました。今までの団体客中心で画一的な温泉から、資源・特性を活かした特徴のある温泉、そしてその温泉地の歴史を踏まえた開発が必要となってきており、変革の時期と言えるでしょう。他の温泉地と差別化の図られた個性的な温泉地が必要となっています。

(以下OHPを使用し、説明)

日本には宿泊施設を伴う温泉地が2,565ヶ所あります。日本の温泉地は北海道から東北地方、関東地方に多く、中部地方以西にはあまりありません。しかし、九州には沢山の温泉地があります。

源泉については、九州地方では大分県に多く、温度は42度以上の高温の温泉が多くなっています。これは環太平洋火山帯によるものです。

湧出量で見ますと、北海道、東北、関東甲信越、九州が多いです。ただし、昔は自然湧出の温泉を利用していましたが、現在は掘削しており、技術の発達から地下1,000mまで掘削が可能となっていますので、火山帯でなくても温泉が出るようになっています。深く掘るには石油掘削の技術が利用され、米国テキサスの石油業者が日本の温泉を掘っています。

宿泊客数では北海道が静岡県を抜いて第1位となっています。温泉の湯量には関係なく、温泉地の人気を表わすものです。北海道は宿泊客数年間1,500万人で、日本とはいえ本州とは景観や気候が異なるので人気があるようです。

1977年ころは年間宿泊客数50,000人以上の温泉地は皆「歓楽温泉地」でした。静岡、北陸で観光地がないような温泉地は施設の充実化で旅行者の誘致を計りました。当時、東北地方の温泉地の宿泊客は少なく、まだ療養客の滞在がありました。交通不便ということも理由の一つです。今から50〜60年前、東北地方では農民が農作業を終了した後、湯治目的で温泉地に長期滞在していました。そのような温泉地が観光地化していったのです。このことは北東北、上信越、九州(九重、森島)など交通不便だった温泉地に言えます。現在は温泉でゆっくりしたい人、特に女性が増えてきましたので、保養温泉地を守る必要があります。

 

 

 

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