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(2) ヒアリング調査結果から

 

1] 調査対象企業の概要

アンケート調査回答企業のなかから15社、延べ33事例を選定して調査対象とした。

このうち、実際に訪問または電話/FAXにより実際に実施した件数は10社、延べ22件である。

・ヒアリング実施件数:10社、延べ22件

・ 内訳

:転換した事例7件(鉄道へのシフト5件、内航コンテナ船へのシフト2件)

:転換意向のある事例15件(鉄道へのシフト15件、フェリーへのシフト3件、重複意向あり)

 

2] モーダルシフト実施事例の分析

1) モーダルシフトを実施した要因

ほとんどの企業が「輸送コストの削減」を主たる理由としている。このほかでは、「ドライバーの労働条件の改善」や「都合のよいダイヤの列車の輸送枠が確保できた」ことが要因としてあげられている。

なお、「環境に対する負荷が小さい」ことを主たる理由とするシフトというのは残念ながらみられなかったが、ISO14000を取得し、輸送の面でも環境への負荷軽減を図ることとし、トラック台数、トリップ数の削減の取り組みの一貫として、モーダルシフトを実施している企業もあった。

2) シフトにあたって解決を要した点

物流業務を荷役も含めて物流事業者に委託している事例が多く、発荷主側での作業体制に影響はほとんどみられない。したがって、リードタイム等の問題がない場合を除いて、発荷主が輸送モードの選択を物流事業者に任せているケースでは、とくに解決を要する問題は発生していない。

つまり、シフト実施にあたっては発荷主側で問題点が生じることはあまりなく、着荷主側とリードタイムや商品管理の方法などの調整が主な課題となっている。

3) リードタイム面

ほとんどの事例でトラックと比較してリードタイムが長くなっている。トラックでは翌日配達となるものが4,5日目配達となるケースもみられる。

すでにシフトが実施された事例では、到着地での配達日時が結果的にかわらない、あるいは、それほどリードタイムを重視しない貨物である等の理由でリードタイムの長さがそれほど重要視されていないケースが多い。

これらの結果から、今後は、路線によって「最終的な配達日時がかわらない」場合もあるので、この部分をターゲットとし、特に、最終的な配達日時がかわらないことを荷主に認知させることでシフトを促進させていくことが考えられる。

また、貨物の性質に着眼して、リードタイムをそれほど重視しない貨物(ストックポイント間の輸送、それほど鮮度が重視されない青果物等)をターゲットとしていくのも一つの方法であると考えられる。

 

 

 

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