(3)自動車における排出ガス対策
自動車における排出ガス対策は、ガソリン車、ディーゼル車を中心に行われてきており、特にディーゼル車については、耐久性が高く、経済性も良いので、トラック、バス事業者を中心に普及してきました。しかしながら、ガソリン車と比較して、窒素酸化物、粒子状物質及び黒煙を多く排出しています。近年の排出ガス規制では窒素酸化物、粒子状物質に重点を置き排出基準を規制強化するなど様々な対策が進められています。
特に、自動車からの窒素酸化物については、その総量を削減するため、1992年にいわゆる自動車NOx法が定められ、大都市地域において、より厳しい規制を実施することにより、窒素酸化物規制適合車への代替等の促進が図られています。これにより、1997年3月末において、窒素酸化物規制対象車両の約70%が規制適合車となっています。
また、近年はハイブリッド自動車、圧縮天然ガス(CNG)自動車、メタノール自動車、電気自動車などクリーンな自動車の開発にも力が入れられ、その導入、普及に様々な対策が進められています。
●自動車NOx法特定地域排出源別排出量(千トン)
注:未規制時のNOx排出量を100%として排出量の低減の状況を示している。
資料:環境庁
(4)船舶における排出ガス対策
船舶からの排出ガス、特に舶用ディーゼル機関から排出される硫黄酸化物、窒素酸化物等の抑制対策については、国際海事機関(IMO)において、1997年9月にMARPOL73/78条約に大気汚染防止に関する新付属書を追加する議定書が採択されており、これが発効すると世界的に規制が実施されることになります。また、船外機、ジェットボートなどに用いられる舶用ガソリン機関から排出される窒素酸化物や炭化水素(HC)についても、現在、2ストロークエンジンの直接噴射方式化や4ストロークエンジンを主体とした生産体制への移行などの対策が検討されています。
さらに、運輸省においては、将来的な窒素酸化物排出量削減を目指して、環境への負荷の少ない舶用推進プラント(スーパーマリンガスタービン)の研究開発が進められています。
スーパーマリンガスタービンは、一般的な舶用エンジンであるディーゼルエンジンと比べて窒素酸化物排出量を1/10に削減できることから、この研究開発成果に大きな期待が寄せられています。
●スーパーマリンガスタービンの研究開発