7-2. 交通ボランティア定着方策の検討
(1) 交通ボランティア活動のPR活動の強化
交通ボランティア活動普及への試みはまだ始まったばかりであり、ヒアリングの中でも交通ボランティア活動について知らない人も多かった。今後、交通ボランティア活動を普及させていくためには、交通ボランティア活動に対する社会的な認識を高揚し、全ての人たちに交通ボランティアの必要性を理解してもらうことが必要である。
当財団をはじめとする交通関係財団が交通事業者や自治体、ボランティア団体の協力を得ながら、パンフレット、ポスター等の紙媒体やインターネットのホームページ等を利用して交通ボランティアのPR活動を展開していくことが必要となろう。
ヒアリング先の事業者の中には、駅や車内に「高齢者や障害者が交通機関の利用に際して困っていたら手伝ってあげてください」といった趣旨のステッカーを貼っている事業者もあった。交通事業者の立場から職員一人一人が高齢者や障害者の利用に際して、自ら介助を行うとともに周囲の乗客にも積極的に支援を求めるといった意識の醸成と共に交通ボランティア活動に全ての人が参加する意識の醸成が求められるものと考えられる。
(2) 高齢者や障害者の交通機関利用への理解の醸成
交通ボランティア活動を定着させていくためには、公共交通機関の事業者、また利用者である私たち一人一人が高齢者や障害者の交通機関利用について何が困っているのかについての理解を深めていくことが必要である。これは、いわば心のバリアフリー化の推進であり、交通施設のバリアフリー化と私たちの心のバリアフリー化が共に達成されてこそ、高齢者や障害者の交通機関利用を円滑にすることが可能になると考えられる。
今回の調査のヒアリング先の中で、バス事業者の労働組合で運転手が介助研修を受講したところ、いままで高齢者や障害者の乗客が定時運行の際に支障となっていると考えていた自分自身がなんとひどいことを考えていたのだろうと反省し、高齢者や障害者の乗客に対する対応が変わったという話があった。このように、高齢者や障害者に対する理解を深め、心のバリアフリー化を進めることにより公共交通機関利用に伴う障壁のかなりの要素が解消されるものと考えられる。
そのためには、交通ボランティア活動のPR活動と合わせて、高齢者や障害者の交通機関利用に関する理解を深めるための情報提供等の活動も交通関係財団や交通事業者が中心となって進めていくべきと考えられる。