現在、障害を狭くとらえる以外に、世界的に定着している障害を持つ人間が社会生活を営む視点からの分類としては、以下のような分類がある。
(1) インペアメント(Impairment)…個人の特質である機能・形態障害。直接疾患から生ずる生物学的レベルで捕らえた障害。
(2) ディスアビリティ(Disability)…インペアメントによって引き起こされる支障、能力障害。
(3) ハンディキャップ(Handicap)…社会的不利。インペアメントあるいはディスアビリティから生ずる能力障害の社会的結果。
特に、諸施設のバリアーフリーが進む中でディスアビリティに関わる障害は軽減される可能性がある。今後目指していかなければならないことは、ハンディキャップの解消であるといえる。
今回の調査対象テーマである交通ボランティアは、障害者が「自由に移動する」ことに関わるテーマであり、このことは障害者の生活手段の獲得、社会生活の確保と直接関わることである。
参考文献:一番ケ瀬康子;社会福祉著作集第三巻 生涯福祉・ノーマライゼーション 労働旬報社P188-189
1-5. 高齢者や障害者の自由な移動を実現するための交通ボランティアの必要性
すでに述べたように『インテグレーション』の視点からみれば、障害者自身の生活に関わること、地域内で障害者が関わること、そして行政の諸機能の調整・連絡の「統合化」がはかられることが必要になる。行政の側としても諸機能の調整・連絡を実施しているが、「統合化」のためには、別の社会的主体である企業、民間のボランティアの支えがより重要かつ必要となる。
高齢者や障害者が前述のような交通行動時における障壁を解消して公共交通機関等を利用して自由な移動を行えるようにするためには、高齢者や障害者の交通行動を様々な角度から人的にお手伝いしたり、情報面からお手伝いするといった支えが必要である。
さらに、視覚障害者のお手伝いをする「ガイドヘルパー」制度や車イス使用者の移送をする移送サービス(ハンディキャブ)等に関わるボランティア活動も高齢者や障害者の自由な移動を支える上で不可欠な支えとなる。
こうした、高齢者や障害者の交通行動を支援し、自由な移動を実現するための支えとなるボランティア活動はいわば「交通ボランティア活動」と呼べるものである。
今後、高齢者や障害者の公共交通機関等を利用した自由な移動に対するニーズはますます増加していくものと想定され、それに伴い様々な角度から高齢者や障害者の移動を支える「交通ボランティア活動」に対する必要性も高まっていくものと考えられる。