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また、視覚能力と聴覚能力は電車やバスの接近を判断したり、電車のホームの端を認識する等自身の安全確保にも非常に重要な能力であると定義する。

最後に知的判断能力については、収集した情報に基づき、きっぷを購入したり、行き先やルートを変更したりするために必要な能力であると定義する。

これら3つの能力が私たちの交通行動に必要な能力である。

 

1-4. 公共交通機関利用に際しての障害者のニーズ

 

交通行動に必要な能力において何らかの障害を持つ、高齢者や障害者は、公共交通機関の利用に何らかの不自由を感じている。公共交通機関を利用する際に、障害者がどのようなことで不自由を感じ、どのような点を改善してほしいかというニーズは、各障害者の障害の状態によって異なっている。例えば、肢体不自由者で車イス使用者にとっては、階段の昇降等の段差の克服が重要であるし、視覚障害者にとっては、駅構内等における自身の安全確保及び利用に際しての様々な情報収集が最も重要な課題となる。

そこで、公共交通機関利用に際しての障害者のニーズを把握するためには、障害者の障害別に障害者がどのようなニーズを持っているかを検討することが必要となる。

我が国では、障害を心身の機能や形態の上からだけ狭くとらえるとらえ方が、法律上も行政側でもなされてきた。

障害者の障害を心身の機能や形態の上から見た場合、その障害別に交通行動時における必要な能力の可否についてまとめたのが以下の表である。

 

表 障害種類別の交通行動時における必要な能力の可否

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○:健常者と同様の能力

△:当該能力自体に健常者との差はないが、他の能力の障害の影響により相対的に健常者より当該能力が弱い

×:健常者と同様の能力が不足する

 

 

 

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