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本編

 

1. 交通ボランティアの現状とニーズに関する調査研究方針の整理

 

1-1. 高齢者や障害者の公共交通機関利用とバリアフリー化の必要性

 

現在、我が国における全人口に占める65才以上の高齢者の割合は、15%をこえており、今後ますます高齢化が進展すると予想される。厚生省人口問題研究所の推計によれば、2015年には65才以上の高齢者の割合は25%を超えるとされている。また、現在、我が国の身体障害者の数は、約300万人である。

公共交通機関においては、鉄道駅の階段、鉄道車輛のステップ、バスのステップ等をはじめとして様々な段差があり、車イス使用者にとっての公共交通機関の利用を難しいものとしている。さらに、駅等の交通施設のトイレや乗車券の販売機、駅構内の案内等、視覚障害者、聴覚障害者、肢体障害者や高齢者にとって単独での利用を難しくしている施設は数多くある。

現在、交通事業者等が公共交通ターミナルの整備を進めていくための指針として、『公共交通ターミナルにおける高齢者・障害者等のための施設整備ガイドライン』が平成6年3月に改定され、鉄道駅、バスターミナル、旅客船ターミナル、空港旅客ターミナルの施設を対象として、高齢者、身体障害者、妊産婦、外国人等の方々の公共交通ターミナルにおける利便性の向上に向けたガイドラインが示されている。中でも、特に重要な課題として垂直移動に関する施設整備が挙げられており、車イス対応エレベーターや車イス対応エスカレーターの整備が急がれている。

公共交通機関におけるバリアフリー化への取組みは、都市部を中心に盛んになってきているが、全国的にみれば、いまだ整備途上にある。

 

1-2. 障害者への理解

 

公共交通機関におけるバリアフリー化の取り組みは、高齢者や障害者が障害をもたない健常者と同様の生活を営んでいくための取り組みの一環としてとらえることができる。

それゆえに、本調査においても障害者福祉に対する基本的な事項について確認をしておく必要がある。

現在、障害者福祉を進めていく上で3つの重要な言葉がある。それは『自立』、『ノーマライゼーション』、『インテグレーション』である。

『自立』とは、障害者が障害を持たない健常者と同様に『自立』した生活を営むことである。自立には、生活上の自立、経済上の自立等があり、障害者が社会生活を障害なく営むことをいう。自立するためには、障害者が自らの人生設計を築き、自己の実現をはかることが必要になる。また、障害者が社会に対して積極的に参加することが必要であり、障害者も健常者も平等であるという考えを障害者と健常者の双方が持つことが必要である。

 

 

 

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