日本財団 図書館


8. 研究成果および今後の課題

 

本研究では、既設駅へのホームドアの設置を目的に、各種ホームドアの調査から今後の方向として腰丈タイプのホームドアを選定し、腰丈タイプのホームドアについて設置位置、動作、設置条件および安全確保策の検討、主要要素の開発を行った。

この研究の中で得られた成果および今後の課題は次の通りである。

 

(1) ホームドアの寸法、形状

ホームドア高さはホーム面から1200mm〜1300mmが適切である。ただし、注意喚起などにより低くできる可能性もある。

ホームドアの設置位置は、ホームドアを上記高さとするとき、直線区間において車両限界からドアホーム側までの距離が400mm程度となる。ただし、曲線区間での検討、狭隘部通過との関係の継続検討が必要である。

ホームドア開口寸法は、自動運転時には2000mmあれば乗降上の支障は無いものと考えられ、ホームドアの構成は両開き式、1戸袋当たり1枚の扉、片持ち式タイプで対応できる。

ただし、手動運転時には停止精度が下がることが想定され、それに対応するために開口幅を広げる必要があり、扉の構成枚数などホームドアの構成について今後検討する必要がある。これは複数形式の車両が走行する線区への対応についても同様である。

 

(2) ホームドアの動作

ホームドアの基本動作を列車の進入、出発、出発後について目的別にまとめた。なお、ホームドアを設置してどのように運用、制御すべきかについては設置目的や路線条件により異なる。このため、高密度線区を例に取りドア制御の考え方例、および異常時対応例を例示した。

 

(3) ドア設置条件

ドア強度特に水平荷重について現状採用されている100kgf/m、250kgf/mの根拠を調査し、現状数値を使う場合の考え方を整理した。安全性確保のみならず、軽量化、施工性の向上も考慮して、どういう値を採用すべきかについては今後検討が必要である。

ホーム構造については、コンクリートタイプ、PC板タイプの既設ホームの設置は、詳細検討が必要なものの、可能と考えられる。盛土タイプについてはホーム側条件の詳細調査と、簡易に施工できる方式の検討が必要である。

乗降時に旅客とホームドアとの電位差対策は必要性があるものとし、塗料などによる対策案をまとめた。

既設駅にホームドアを設置する場合には、短時間でのホームへの搬入、固定が必要になる。また、準備工事、固定後の工事も夜間作業となる。このための短時間で搬入するための施工方法について概略検討を行った。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION