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5. ホームドア設置条件の検討

 

ホームドアの設置条件として、ホームドアの必要強度、ホーム構造、電位差対策および施工方法について検討した。

 

5.1 ホームドアの必要強度

 

ホームドアの必要強度は、加わる外力に基づき決定されるため、外力について事例調査と概略検討を行った。

必要強度はホームドア本体の構造・重量に影響するのはもとより、設置方法、設置工事とも密接に関連し、本体コストと工事費に関わる事項である。このため、今後さらに調査を行い、必要強度を決定する必要がある。

 

5.1.1事例調査

 

鉄道およびホームドアに関連する諸設備において適用されている荷重条件の調査内容を表5.1-1に示す。

類似の代表事例としては道路橋の高欄があり、高欄では250kgf/mの水平荷重が頂部に直角に作用することを基準としている。

国鉄の構造物設計指針ではこ線橋通路において側壁には100kgf/m、通路突き当たり面には250kgf/mの水平荷重が面に直角に働くものとしている。

また、ホーム柵においては100kgf/mまたは250kgf/mが用いられている。

 

5.1.2ホームドア水平荷重の検討

 

上記の高欄における水平荷重250kgf/mは、昭和23年に起きた新潟万代橋の石造高欄が花火見物のために殺到した群衆のために崩落して多数の死傷者が出たことを機に、実験結果から定められたものである。

水平荷重250kgf/mは、このように非常の場合にも対応できるものとして定められており、こ線橋通路側壁への水平水荷重100kgf/mも同様に非常時対応のものである。

これら水平荷重が定められた状況と、ホームドア必要強度算定のためのホーム上の状況とは異なるものと考えられる。

ホーム上の条件としては、通常時は人がもたれかかる程度、故意によるものは体当たり等のぶつかり程度と見積もることもできる。しかし、混雑時および非常時の状況ををどこまで見積るかについて安全確保の考え方を検討する必要がある。

腰丈タイプのホームドアの扉は、水平荷重に対し片持ち構造となる。さらに、扉下面をローラ等で支持しない場合は完全な片持ち構造となり、水平荷重に対し強度的に厳しい構造である。このことからも、水平荷重は十分配慮して決定することが必要である。

 

 

 

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