(4) 駅停車時分が延びることに対する対策案
図4.2-5に示すような有効乗降時分が少なくなりこれをカバーすべく駅停車時分を延ばした場合の運用方法として以下の方法が考えられる。
・対策案1:延びた分を折り返し駅停車時分短縮でカバーする方法。
・対策案2:延びた分、駅間走行速度を上げてカバーする方法。
・対策案3:延びた分を対策案1と対策案2とでカバーする方法。
しかし、削る余裕の無い、超過密運転の場合には、以下のような方法を考える必要がある。
・対策案4:ドア開時の車上―地上間の情報伝送遅れ時間の短縮(より高速化など)。
・対策案5:ドア開時の同期特性図4.2-2において、車両ドアの開開始を早めて車両ドアの開特性のバラツキの平均値でホームドア開特性と一致させる。(即ち、列車停止精度のバラツキと車両ドア開特性のバラツキの全ての範囲に対しホームドアの開口幅が車両ドア開口幅以上とする考えを止めて、バラツキによっては車両ドア幅以下となることやむを得ずと割り切る考えの導入)
・対策案6:ドア閉時の車両ドアに対するホームドアの遅れを無くす。
この対策案6の具体的な方法を以下にて検討する。
ドア閉時に車ドアよりも遅くホームドアを閉じる理由は、図4.2-5に示すように車ドアが閉ったために、乗車を諦めた旅客がホーム側に戻る逃げ道を確保する理由にもとづく。
この逃げ道が別に有れば、車ドアと同期させるかまたは早く閉じて乗客を遮断することができる。
この方法としては、JR東日本の試験として報告された方法と同様に、以下のような方法が有効と考えられる。また、これらの方法はホーム整理要員の脱出にも有効である。
・対策案6-1:ホームドアが閉じても、すり抜けて逃げられるようドアに隙間を設ける。
・対策案6-2:ホームドアが閉じてもホーム側に向かってのみ自力で抜けることが出来る構造とする(双方向で無く、一方向のみ自力回転可扉のようなもの)。
以上の検討内容を以下にて整理する。
1] 列車停止位置・ホームドアの開閉時間特性のバラツキを全て考慮し、またホームドアは完全に閉めるものと考えると2秒程度のロスが生じる。(図4.2-5参照)
2] 使用線区によってはこのロスを運用で解消出来る。(対策案1、対策案2、対策案3参照)
3] 運用でカバー出来ない高密度線区では、1]で述べたバラツキを考慮せずに平均値を適用する割きりの導入(2枚ドア構成通路幅が変動する程度)、およびホームドアを完全に閉め切ら無い方法の導入など、通常考えられる範ちゅうの工夫により2秒のロスは殆ど解消可能と考える。(対策案4、対策案5、対策案6参照)