日本財団 図書館


●月刊コマーシャルモーター(1999年2月号)

 

乗り降りらくらくバス普及セミナー

 

中型ノンステップバスも登場

交通エコモ 浜松と東京の2会場で開催

 

交通エコロジーモビリティ財団は昨年末にノンステップバスおよび福祉タクシーの普及促進を目的として「乗り降りらくらくバス普及セミナー」を開催した。前年に引き続き2度目の開催となった今回は、環境や街づくりといったより広い視点から公共交通としてのノンステップバスのあり方を探るため、浜松会場と東京会場に分けて実施された。両会場では各種の福祉車両の展示会も開催されたが、中型のノンステップバスが初公開され、また今年早々にCNGタイプのノンステップバスが登場することも明らかにされた。

 

認識深めることが目的

 

セミナーの浜松会場は11月6日、浜松駅前のフォルテ・ギャラリーモールで、東京会場は12月9日、品川区の船の科学館で開催された。

セミナーに先立ち交通エコモ財団の奥西勝理事長は次のように挨拶した。

 

109-1.gif

あいさつする奥西勝理事長

 

「わが国で急速に進みつつある高齢化社会、障害者の方々の自立と社会参加の進展にともない、すべての人々が快適に利用できる交通システムの整備が重要かつ緊急な課題になっている。最も身近な公共交通機関のひとつである路線バスにおいてもこうした社会的な要請に対応してきたが、平成9年3月に日本で初めてノンステップバスが登場し、以降徐々に全国に導入されている。しかしヨーロッパでは10年ほど前から導入が始まり、現在では約7〜8割の普及率といわれている。日本ではまだまだ導入のテンポが遅く、地域間のばらつきもあり、またユニバーサルデザインや実際の効用などについても十分には理解されていないように思われる。

このような状況を踏まえ、ノンステップバスに対する認識を一層深めるべく昨年に引き続きセミナーを開催する。今回は環境や街づくりといったより広い視点から見た公共交通機関としてのノンステップバスのあるべき姿、可能性および福祉タクシーなど他の交通手段との関係についても探っていきたい」。

 

浜松会場

 

誰でも、便利に、信頼、が3条件

 

<基調講演>

テーマ:オムニバスタウン「はままつ」とバスの多様性について

講師:埼玉大学工学部建設工学科助教授

久保田尚氏

●まちづくりとバス

まちづくりに貢献できるバス交通システムの条件とは、誰にでも使える、便利に使える、信頼できる、の三つである。いかにも当然であるが、これらのすべてを満たすシステムを完備している例は世界的に見ても極めて限られる。TDMが普及するなかで、自動車に変わりうるバスシステムの構築が各地で模索されているが、バスを中心としたまちづくりを可能にするための課題は非常に多いといわざるを得ない。まず「誰でも使える」システムとは、バリアフリーがその主な要件であり、ノンステップバスはそのための大きな前進である。しかし地形や道路条件などからノンステップバスの適用が困難な場所(急な坂道などの場所こそ高齢者にとって公共交通サービスが必要である)において、ハードないしソフトでの工夫が求められる。「便利に使える」システムが必要なのは当然であり、需要の量や質をよく見極めたうえで路線設定やバスサービスを補完するサービスの向上が求められている。「信頼できないこと」がバス利用者の減少につながってきた。これは根本的には道路交通のなかでのバスの位置づけの問題であり、道路整備や交通管理によってバスのスムーズな運行を確保していくしかない。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION