(7)'97年11月29日
海面の輝度はやや高かった。天売島から雄冬岬にかけて帯状に高輝度な部分が見られた。また、増毛沿岸には2ヶ所の暗い部分があった。波向はSW、波高は0.59mであった。風向はESE、風速は強く6.3mであった。
2.3.4 波浪観測結果との比較
(1)波高解析
波高に関してはSAR画像の輝度値(及び後方散乱係数)と波浪計による実測波高との比較を行った。
1] 解析方法
SAR画像上で波浪観測点に当るピクセルのDN値及びそのピクセルを中心とする10×10ピクセルの小領域を切出し、その中のDN値の平均を求めた。
波浪観測点のDN値はSARが観測を行ったある瞬間の状態を示していると考えられるのに対して、波浪の観測値が有義波(1/3最大波)で求められているため、比較対象としてはある程度の広がりを持った領域の代表値がふさわしいと考え平均値を併せて用いた。
求めたDN値から後方散乱係数を算出し波高データと相関を求めた。EORC及びNASDAによるDN値-後方散乱係数変換式は、後方散乱係数をNRCS、DN値をIとすると、
NRCS=20log10(I)+CF(dB)
である。ここにCFはProcessing Parameterであり、ERS-1/AMIのNASDA標準プロダクトの場合は-65.3dBとされている。
本研究では、カナダのAtlantis Scientific Systems社のEarth View Ver.5.10bを使用してアジア航測にて再生処理を行っており、NASDA標準プロダクトの係数をそのまま使用できるかどうかは不明である(検討を行うには同一シーンについてNASDA標準プロダクトを別途購入し比較する必要がある)。ただし、絶対値について議論せず定性的な傾向を把握する目的であれば係数の差は無視できると考えられる。ここではNASDAの値を使用して議論を進めた。
実測波高データと後方散乱係数の散布図を作成し、両者の間の相関関係を検討した。
2] 解析結果
SAR画像から求めたDN値及び後方散乱係数(σo)を表12に示した。