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JERS-1とRADARSATの画像が重なっている部分については、RADARSAT(Standard-2モード)では画像のFar Range側であり入射角は30°程度である。JERS-1では中央での入射角は38°前後であり、入射角が大きいため海面の散乱が小さい。このシーンのRADARSATの場合は鏡面散乱からブラッグ散乱への移行域と考えられ、入射角の大きいJERS-1に比較すると散乱が大きい条件となっていた可能性がある。

・ RADARSATのCバンド(波長5.6cm)に対してJERS-1はLバンド(波長23.5cm)であり、風波の波長が5.6cmに近かったためにCバンドのみに強い後方散乱が見られた可能性がある。

2) 2値化による流氷の抽出

JERS-1画像では海面の高輝度域が見られなかったことから、適当なしきい値を定めて2値化することにより流氷部分を抽出した(図16)。

この画像では単純な2値化によって流氷の抽出を行うことができた。これは、海面に風による高輝度な部分が見られなかったこと、画像範囲に入っていた流氷が細かい氷塊が風に吹き飛ばされ筋状に分布していたもののみであり氷盤や流氷域中の暗い領域が見られなかったこと、などによると考えられる。従って、本ケースのみから一般にJERS-1画像では流氷判読が容易とは言いきれない。

ただし、海面の影響を受けにくいと考えられることから流氷の分布、密接度の算出に向いていると思われる。

 

 

 

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