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(5)JERS-1画像からの流氷解析

SAR画像ではセンサのパラメータ(波長、入射角、偏波など)によって得られる画像に違いが見られる。平成9年度の解析ではRADARSAT/SAR画像上に見られる特徴(海面の風波域、白い氷板、黒い氷板など)に注目して解析を行ったが、センサが異なれば画像に見られる特徴も異なり、結果として適切な解析手法も異なることが考えられる。このため波長と入射角が異なるJERS-1/SAR画像を入手し流氷の判読可能性を検討した。

1] 解析方法

'97年3月26日のJERS-1画像(RADARSAT画像と同日、撮影10:14、RADARSAT撮影後約5時間、図15)について平均フィルター(9×9ピクセル)によりスペックルノイズを除去した後、肉眼による判読可能性を検討するとともに2値化による流氷抽出を試みた。

2] 解析結果

1) 目視判読

'97年3月26日のJERS-1/SAR画像については比較的容易に流水を判読することができた。

RADARSAT/SARでは高輝度に観測された網走沖の海面はJERS-1/SARでは暗く表現されており沖合の流氷とのコントラストも強かった。風波によると思われるパターンは能取岬東側に弱く見えるのみであった。

RADARSATとJERS-1の撮影時刻には約5時間の時間差があり、風向は北西、風速は5〜7m/s程度であったが、両者の流氷分布については部分的にしか比較できないものの大きな違いは見られなかった。

海面の高輝度域がJERS-1画像に見られなかった理由としては次の2点が考えられる。

・ Valenzuela(1978)によると低入射角では鏡面散乱が卓越するが、20〜30°を境にそれ以上の入射角ではブラッグ散乱が卓越するときれている。模式図を図14に示した。

 

027-1.gif

図14 海面散乱モデル(Varenzuela,1978による)

 

 

 

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