日本財団 図書館


(2) 今後の活用

タンカー船型を母船型として選んで本システムによっての最適化設計を行ない、母船型と最適船型の水槽試験により本システムの有効性が確認された。本システムは設計者が流体力学的な考察に基づいて船型設計の方針を決定することを支援し、かつ、水槽試験を主体とした従来の船型最適化手法に比べ、設計時間を大幅に短縮することが実証された。これからの船型設計手法に変革を与えるKey Technologyになると考えられる。

本システムを発展させた将来の姿をイメージして第5.1図に示す。本研究では粘性抵抗あるいは造波抵抗を最小とする最適化問題を取り上げたが、最適化のアルゴリズムは般性があり、粘性抵抗と造波抵抗を加えた全抵抗を最小とする船型、プロペラ効率を最大とするプロペラ形状さらには推進馬力を最小とする船型とプロペラとの組み合わせ、等々その応用範囲が拡大することが容易に推察される。そのためには、設計システムの核となる個々のCFDツールは、その利用目的に応じて今後も継続的に改善が図られるべきであり、それらのCFDツールが他の計算ツールに容易に置換できるようなCompatibilityを持つことが肝要である。

 

024-1.gif

 

図5.1 最適船型設計システムの将来構想

 

本研究により、Simulation-Based Designに基づいた最適船型設計システムのプロトタイプが完成した。造船システムの一環としての船型設計は最も上流側にあるため、船型設計法とそのプロダクトは生産システムの中に効率的に統合され、造船システム全体の効率向上に貢献することが肝要となる。その中で各種データ交換の機能向上を目指して、本研究では、船型データの交換に国際標準であるSTEP形式の適用性を確認したが、本システムと他の設計分野(構造、艤装、生産設計等)とのデータ交換に係わる諸検討は今後の課題である。

 

 

 

前ページ   目次へ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION