3. 研究成果の一例
船の推進性能と操縦性能に関するCFD応用技術を向上させ、CFDによる最適船型設計法を開発した。研究成果の一例を以下に示す。
・SR221Bタンカー船型を母船型として、船型改良の試設計を行った。
・設計プロセスは、順問題手法と逆問題(最適化)手法の組み合わせで以下の通り。
1) 浮心位置Lcbを変更→L2船型(2%抵抗減)
2) 最適化手法により船尾形状変更→O2船型(7%抵抗減)
3) 順問題手法で最終改良→SR229船型(実船馬力換算で12%減予測)
この間、CFDによる各種性能確認計算、最適プロペラ設計等を実施
4) 水槽試験による確認(実船馬力換算で14%減)
・最適化手法段階での船型改良の例を、本報告書冒頭の口絵に示した。
・下図に実船換算馬力の比較を示す。
4. 本研究のメリット
本研究成果により、次のメリットが期待される。
・必要とされる水槽試験が従来法に比べ、格段に減少。
・計算工数の大幅減少。
・最適形状の自動生成。
・種々の設計要件の変化に迅速に対応可能。
5. 今後の課題
CFDを採用した船型設計法をさらに拡充するための今後の課題を示す。
・本システムはプロトタイプであり、推進性能、操縦性のコア部分のみ実装。
したがって、今後要素性能の推定部分を更に拡張する必要あり。
・今後の拡張、展開は、各社の自助努力にゆだねる。
・CIMとのリンクも可能ではあるが、今後の適用・調整が必要。