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3. マハティール博士が、選挙に出るかどうかは、未ださだかではない。副首相のアンワル・イブラヒムが九月に逮捕される前に、彼がアンワル副首相に国を指揮する機会を与え、辞職するかもしれないという根拠のない噂があった。事態は変わった。アンワルは逮捕され、現在、裁判中である。1998年7月に、初めてタイを襲った経済的悪影響は、地域の他の国に広がっている。インドネシアと韓国は、IMF(国際通貨基金)の基準を受け入れるためにフィリピンに加わった。アジアにおける経済の停滞を経験することはないであろう。

 

4. 極東にいる、ほとんど誰もが影響を受けた。アジアにおいて最強の経済を誇る日本を含めて。ブラジルの貨幣の引き下げに続いて、ラテンアメリカは北アメリカに広がる可能性のある、悪い経済サイクルに陥るかもしれない。このことは、ヨーロッパにおける不景気を解決するための、いかなる努力をも駄目にするかもしれない。

 

5. 1998年9月1日以来、マレーシアは選択通貨政策や外為統制を導入し、経済の悪影響から抜け出し、経済回復の基礎とした。マハティールはIMFルートを通ることを選ばなかった。彼は、強引な条件のIMFからお金を借りることを拒絶した。本来、マハティール博士の外為統制導入の政策は、自国の通貨リンギットによる国際貿易を規制し、財政投機家基金そして世界規模の財政的混乱に対し、国が悪影響を受けることを減らす目的で外為の動きを規制するものである。

 

<新しいマレーシアの政策パッケージは次のようなものである>

○アメリカドルに対してリンギットの価値を3,80に設定すること。これは通貨の日々のレベルでの市場力の役割を減らすだろう。この処置は、リンギットの価値に関し信頼をもたらす。それは、リンギットの不透明性を取り除き、より予想できるものにする。従ってビジネスマンは、リンギットの変動を、心配する事なく計画を立てることができる。

○シンガポールの不法な海外第二市場を閉じることによって株式市場の不透明性を減らす処置。このCLOBとして知られる海外市場は、マレーシアの株で貿易を行い、マレーシアは、これを統制することができなかった。それを、閉じることで(つまりそこでの株取引を認めないことによって)、マレーシアの株式市場に対する信頼を予測可能性を回復した。同時に、その処置はまた、海外の国民が株を売る前に、その国で1年間は保有することを確かめる為に使われた。このことは市場における投資(憶測)を抑制することである。

○国の外にあるリンギットを廃止することで、リンギットの国際貿易を除去する処置。これは、リンギットが兌換不可能であり、国の外で価値を持たないことを意味する。この目的は、二重のものである。第一に、投資(憶測)を取り除くこと、第二に、過剰なリンギットが国に戻されることを確認することである。

○在留旅行者は1000RMまでの紙幣(手形)と、いかなる量の外国通貨を持ち込むことが許されている。しかし、1000RMまでと10000RMに相当する外国通貨しか持ち出せない(これは医療目的のために50000リンギットまで改正された。)

 

 

 

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