世界銀行は2020年までに世界の経済トップ10の内、7つがアジアになり、たった2つがヨーロッパになるだろうと予測している。地域的発展の不確実性はこの予測について多くの人たちをいくらか用心深くさせるだろう。しかしながら一般的傾向の地域戦略的方法は深いものである。
この経済における成長の主要な源は、外に目を向ける、開かれた発展戦略であった。従って東アジアの急速な経済成長は国際貿易の爆発と平行していた。1980年から90年までの10年間の間、例えば東アジアの国際貿易は一般的な世界貿易の2倍近くの速さで成長した。結果として、この地域の国際貿易はすでに北アメリカを超えている。更に東アジアの経済は、さらに深く相互依存成長している。東アジア諸国間の貿易は、世界のその他の地域との貿易よりも非常に速く成長している。明らかにこの地域の経済は、その高い経済成長率を支える為に、これまで以上にお互いを養っている。1993年東アジアの地域間貿易は国際貿易全体の40%を数えた。
もし、東アジアと北アメリカが一つの地域、つまりアジア太平洋地域に集められれば、この拡大地域の国際貿易は、EUの総量に等しくなる。21世紀の間アジア太平洋地域は全世界貿易の半分以上を占めるだろう。更にアジア太平洋国際貿易が、すでにその全国際貿易の60%以上に相当し、EUの比例に近い事は注目すべき事である。これはアジア太平洋地域が、すでにある程度の相互依存貿易と経済的合体を為し遂げ、世界の貿易量の最も高いパーセンテージを生み出している事を意味する。
この貿易のほとんど全てが、船によって行われているので、主な重要性はアジア太平洋における船の積載トン数とコンテナ荷の成長が同じように急速であったということである。表1は、1994年の世界の最もにぎわったコンテナ港のトップ10のうち、8つはアジア太平洋地域にある事を示している。表2は、北東アジアの数か国が経験した海上輸送貿易の量における空前の成長率を示している。
この地域の経済成長の速度、地域経済の相互依存性の急速な成長、海上交通の巨大な集中は、この地域の海運業の重大性を強調している。海運ルートは、ときに、その地域経済の動脈としてはっきりと描かれる。アジア太平洋地域において、海運の流れが妨げられる事は、その地域の、多くの国々の経済的健康と繁栄、そしてある国々にとっては、その生き残りをかけた重大な問題となる。この海運の安全は、従って、この地域における重要かつ増大する重大な戦略的関心事である。
III 東アジアのシーレーン防衛に対する脅威の主な源
東アジアのシーレーン防衛の最重要性に関わらず、シーレーンがアジア大陸全体に最も近いからだけでなく、更に重要な事に閉塞地域を通っている事により被害を受けやすいという事は、その地域の地図を見れば明らかである。日本と韓国から南への海事交通は台湾とフィリピンの間の台湾海峡かバシー海峡のどちらかを通る。韓国の東海岸か日本の西海岸から出港する船は、最初に韓国海峡を横断しなければならない。北太平洋からインド洋もしくはペルシャ湾に向かう多くの国の船は、狭いマラッカ海峡か、多くのインドネシアの航路の1つを通らなければならない。これらのチョーク・ポイントのすべてにおいて、潜水艦や飛行機による攻撃に左右されるかもしれない。