日本財団 図書館


3 同期及び非同期移動体

 

TDMAシステムとアナログであるFDMAシステムとの間の重要な相違は、TDMAシステムでは呼び出し側と聴取側との間で時間同期が達成されない限りあらゆる通信が可能ではない、という点である。TDMAシステムによると、同期は理解できる通信が可能になる遥かな以前に達成されることができるので、通常、このことは通信を制限しない。システムは、固定(海岸)局をタイミングの主局として設計されることになると考えられる。TETRAは、ビット率と保護帯域とが(例えば、GSMに比べると)長いので、タイミングを進めることは必要としない。

 

移動体が近づいていると、海岸局は、マスタータイミングと同期を取る前に、他の移動体へうまく同期を合わせることができる。この場合当該海岸局は、他の移動体からの通信を受信することはできるが、マスタータイミングへ同期を取るまでは、海岸局のチャンネルで送信することは控えるべきである。移動体間用のチャンネルが、この状況においては送信用に利用されることができる、と考えられる(第7節)。図1のようなシステムの領域に到着し同期を取った場合、移動体は、前もって得ている知識、方向(多分自動的に)または送信状況の監視行為により、適切な時間スロットを決定することになるものと思われる。基地局は、呼び出しが行われていない場合でも同期に使用することができる管制情報を送信していることになる点が、留意されるべきである。

 

4 1箇所における複数のシステム

 

現在、複数のいろんな『通信システム』が、1箇所において、周波数で区別されて、海上VHF帯で運用されている。この状況は、図2が示しているように、そのまま、TETRAへ移し変えることができる。船舶通航管制とか小型船係留地などのようなシステムには、アクセスが公開されているものもあり、また、私用施設であって特別に組み入れられている移動体のみしかアクセスできないものもある。

 

各システムは、互いに時間同期されている必要はない。移動体は、『ホームシステム』に同期されることになると考えられるが、必要な場合は別のシステムに切り替えてそれに同期を取ることができると思われる。図3のような状況も考えられることができる。この状況では、互いに遠く離れている2送信局が、同じ周波数における同期システムで運用されている。システムの中の一つは、マスタータイミング用として指定されることができるものと考えられる。そうでない場合は、各システムは共通の時間源(例えば、DroitwitchまたはGPSなど)からタイミングを取ることができると思われる。2固定局の間の送信時間が、これを無限に延長できるものとはしないが、(例えば)数人の航海者が行動しているような区域においては、この方法は、スペクトラムの効率を向上させ、輻輳を軽減させることができるものと考えられる。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION