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■今後の課題

 

今年度の「なぎさ海道基礎調査」では、調査対象エリアの課題を明らかにするとともに、「なぎさ海道」実現の具体化メニューのひとつとして「なぎさトレイル(海辺の小道)」実現の可能性を検討しました。その結果を踏まえ明らかになった共通の課題を、以下に示します。

 

地域の独自性を生かした「なぎさ宣言」と

新しい流れを創り出す共通認識として「なぎさ海道憲章」の制定

自然海岸が大部分を占める和歌山・大阪の境界部と、人工海岸中心の芦屋〜西淀川では課題のあり方が全く異なります。それぞれの地域の歴史や人々のくらしのありようを支えてきた地域独自の価値観や知恵・技術の反映でもあります。今後は、これらの地域資瀬を「なぎさ海道」という共通認識のもとで、地域が自発的に動き始めることが人と海の豊かな関係の創造につながっていくことを、調査結果は示しています。

このように、最近顕在化し始めた地域独自の海とのかかわり、人と海との新たな関係を「なぎさ宣言」として対外的にアピールし、潜在的な共感を具体的・自発的なムーブメントにつなげていくことが今後の課題になってきています。

そのためには、それぞれの地域の「なぎさ宣言」の背景となる共通のルール・思想の共通認識として「なぎさ海道憲章」の制定が急がれます。

 

「なぎさ海道」に関連する多様な取り組みとの連携

昨年度「なぎさ海道推進会議」を立ち上げ、「なぎさ海道」の具体的な取り組みが始まりました。市民と関係機関をつなぎ、幅広い参加と連携の芽を育てその声を反映していくと同時に、「なぎさ海道」の理念に根ざしたソフト・ハード両面の整備を推進していくためには、横断的・重層的な支援と取り組みが必要です。

基礎調査で浮き彫りになった地域の魅力や資源、固有の課題と共通の課題などを、ワークショップや制度手法の研究、パブリックアクセスの研究など、「なぎさ海道」推進の取り組みに反映させ、相互に連携して具体的な取り組みにつなげることで、地域の活動や海辺そのものをつなぎ新たな展開をしかけていくことが次なる課題となります。

 

「なぎさ海道」情報のデータベース化と情報交流のしくみづくり

「なぎさ海道」への理解を深め実現につなげるためには、各地域の魅力や資源、様々な取り組みなどを広く人々に知らせることが大切です。「なぎさ海道推進会議」に参加している各機関をはじめ関係者が、市民参加のもと、それぞれの役割を積極的に受け持ち、協力体制の持続的展開が望まれます。また、上記にあげた取り組みの連携によって情報交流の場を生み出すことで、様々なニーズに応えられる人材の発掘・育成を行うことが求められています。

 

 

 

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