はじめに
「なぎさ海道」は、自然環境の保全と持続可能な開発を基本に、人と海が豊かに触れ合うことを目指し、大阪湾ベイエリアの新たな可能性を創造しようとするものです。平成9年3月に「なぎさ海道推進マスタープラン」が策定され、その理念と推進方策が提示されました。
その中で、新しい連携の仕組みと市民参加に基づく発見・ネットワーク・参加をキーワードに、「なぎさ海道ムーブメント」を起こすための息の長い取り組みが重要であるとされています。
「発見」とは、「もっと知ろう・伝え合おう、海辺のことを」という視点で、海辺の持つ様々な顔、自然や海辺で暮らす人々、情景など海からの視点によって海が私たちに何をもたらしてくれるのかを知り、伝え合うことから始めようということです。
「ネットワーク」とは、「海辺から人・モノ・情報の新しい連携を」という視点で、海辺を人・モノ・情報の新しい連携の場ととらえ、人と自然、人と産業、人と人との新しい出会いや体験を大阪湾ベイエリアの各地でネットワークしようというものです。
「参加」とは、「市民ひとりひとりの海辺への関わりを求めて」という視点で、国、府県・市町、企業などの協力はもちろん市民ひとりひとりが手軽に参加できることから始め、その輪を大きく広げ、様々な人々が海辺に関わることを目指すものです。
このような考え方のもと、昨年度より「なぎさ海道ワークショップ」において、海辺の現地説明・視察、地元で活動する人々の講演及び参加者の意見交換などを行ってきました。
昨年度の海外事例研究及び、大阪府、和歌山県、兵庫県、徳島県での5回の開催に続き、今年度のスタートでもある第6回は、「人工島と海辺の環境づくり」をテーマに、大阪市の港湾を海上から視察した後、整備が進む舞洲にて、海底土利用で生まれた焼き物づくりのプロセスと陶芸村構想の話を聞くとともに、埋立地における海辺の利用と整備について考えました。
第7回は、「海辺の生態系と市民の生活」をテーマに、大阪湾の将来像を考えるために立ちあげられた研究村構想のある淡路島の洲本市由良にて行いました。貴重な藻場の観察や湾奥部から漂着するゴミ拾い、魚市場や市街地見学、まちの歴史、さらに地元の人々との交流を通して、都市からの負荷を受けやすい大阪湾の自然の保全と活用について意見を交わしました。
第8回は、内陸部に視点を移し「海につながる河川の整備と自然環境」をテーマに、大阪湾の水の供給源である淀川流域の整備状況及び自然の生態系について学びました。さらに、河口部で市民活動を続けている方の話を聞くとともに、市民活動によって緑地化が実現しようとしている海岸部のウォーキングを試みました。
第9回は、「ファクトリー・ツアー-臨海立地を生かした取り組みと港湾整備-」をテーマに、尼崎臨海地域、堺北臨海地域を訪ねました。尼崎においては地元で操業を続ける企業の取り組みを聞くとともに、整備が進む遊歩道の視察を、また、堺北においては広大な遊休地が生まれた経緯及びその実態、さらに港湾施設の見学を通じて埋立地の今後の整備と利用のあり方について意見交換を行いました。
以上今年度の4回のワークショップは、昨年同様少人数で現地視察中心の方法により、バス移動途中での説明や意見交換も行うなど凝縮したプログラムで展開しました。回を重ねるごとに参加者のリピーターも増えていることから、一定の理解と期待が得られていると思われます。また、各回の意見交換及びワーキングから、ワークショップの内容について、
●現地見学を通して、様々な海辺の姿、整備の様子などが見られ、新たな発見がある
●地元で活動する方々に直接話を聞き、交流することができる
