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拓」に類似する事業として「環境の構成要素に係る項目毎に調査、予測及び評価を行うとともに、これらを行う過程においてその事業に係る環境の保全のための措置を検討し、この措置が講じられた場合において環境影響を総合的に評価する」ことが必要である。特に、瀬戸内海地域は、「瀬戸内海環境保全特別措置法」によって瀬戸内海の環境保全を図ることとされている。このような観点からは、公有水面の埋め立てやこれに類似するメガフロートの整備は、上載施設の内容に関連した汚水処理施設等の直接的に水質に影響を与えるものの規制は当然として、この他にも、魚が産卵し稚魚が成育する地域である藻場の保全や、水鳥が飛来し休息する干潟の保全が重要な要素になっている。例えば、このような規制のもとで、岩国市三角町地先における岩国空港の滑走路の沖合移設に伴う公有水面の埋め立てについては、環境保全上の観点から、藻場及び干潟の保全に支障が生じないよう埋め立て工法等に配慮するとともに、藻場・干潟の造成を行い藻の定着や干潟の形成状況を計画的に監視する必要があることなどについて特段の措置を講じる必要があるとの意見が環境庁長官から提出されている。

また、広島県五日市市の河口域の埋め立てについては、地元の反対活動に対応して、人工干潟をつくり、もとの自然が残るような方策を立てている。これは、わが国のミティゲーション(将来予測される影響を見越して環境保全措置を講ずる。)の第1号事例となっている。この他にも、名古屋市の藤前干潟の埋め立てでは、渡り鳥の餌場を残すべきであるとの意見の前で中止の方向が打ち出された。また、千葉県の三番瀬でも同様に環境保全に配慮した検討が進められている。このように、現在では瀬戸内海に限らず、海岸の埋立事業を行っていくことには困難が大きい状況にある。「環境影響評価法」では、"主体や地域を限定しない住民参加型の環境評価"や"事業着手後の調査を義務づけることによる予測の不確実性に対応した評価の必要性"が特徴になっているが、これに加えて、環境影響評価のための調査・予測・評価の項目及び方法については画一的に定めるのではなく、包括的に定めておいて、個別の案件ごとに絞り込んでいく仕組みがあり、具体的な調査項目等の設定を個別に判断する手続き(スコーピング手続き)を導

 

 

 

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