具体的な設計条件が未確定であるため、埋立工法との正確な費用比較はできない。具体的な整備方向の内容に応じた整備上の設定条件やそれに対応した整備費用は、例えば以下に示すような多くの可変要素を含む。
[埋立工法による費用想定上の留意点]
埋立工法は、既に確立された多くの実績を有する工法であるが、一定以上の大水深地形や海底地盤が軟弱であった場合のように、自然条件に左右されやすく、工期・費用等の可変性が大きくなる。
■ 整備工期
浮体工法に対して、比較的長い工期が予想される。一般に、埋立工法による工期は、海底地盤の良否により変動可能性を有し、工期見込みの設定が難しい。
仮に、想定以上に海底が軟弱な地盤であった場合には、埋立てに要する工期が延長する可能性もあり、費用面での負担が想定以上に増加することも考えられる。また、長工期は、それ自身資金運用等の機会喪失としてのデメリットが考えられる。
■ 地盤改良
海底地盤が想定以上に軟弱な場合、埋立てと同様に上載施設整備に必要となる地盤強度確保のための地盤改良工事負担が想定以上に増すことも考えられる。
[浮体工法による費用想定上の留意点]
埋立工法と比較して、自然環境等への影響が少なく、工期・費用の見込みが立てやすい。また、比較的短工期で整備可能であるメリットも有する。
浮体工法による整備項目として、浮体ユニット建造、浮体ユニット防食、浮体ユニット接合、係留施設工事、連絡橋工事が挙げられるが、技術力の向上に伴い、各整備に要する費用はそれぞれ以下のように展望され、今後の費用軽減化が期待される。
■ 浮体ユニット建造
既に一定水準の技術力が確保されているが、新しく開発された設計プログラムを活用することで、構造等の経済設計が可能であり、一層の費用軽減が期待できる。