この結果、呉市の人口は既に見たように、昭和50年をピークに減少が続き、平成7年には21万人を割り込んでいる。そして、地方拠点都市地域を構成する12町も長期的な人口減少が続いている。呉市の製造業の活力は、単に呉市全産業の活力につながるばかりでなく、呉市を中心都市とする広域圏全体の活力を規定してしまう状況にある。
呉市の工業発展は、戦前の海軍工廠の立地に始まり、この技術を核に造船、鉄鋼、機械金属等の集積が形成され、その後も航空機エンジン、橋梁、産業機械、自動車部品等の多岐にわたる産業が集積した。しかし、これらの産業・技術集積は基本的には重厚長大型であり、近年の社会経済環境変化のもとで構造変化を余儀なくされている。
この様な状況を受けて、呉市では「第3次呉市長期総合計画」において、基幹工業の振興と並んで、新産業の育成とこれを支える研究開発機能の強化を打ち出している。具体的には、新産業の育成に向けては1]インキュベート機能の確立、2]新規成長産業の立地促進、が掲げられている。2]については、新規成長15分野の内既存工業集積との有機的結合を図るために環境関連産業や海洋関連産業等をターゲットとしている。(図4-39)