第2章 福祉・健康づくりをめぐる環境の変化と具志川市の現状
1 福祉・健康づくりをめぐる環境の変化
(1)ノーマライゼーション思想の普及
ノーマライゼーションの考え方は、これまでおもに物理的なハードの部分における取組(建物や道路などのバリアフリー化など)がなされている。同時に、今日では、ソフト的な取組として、精神障害に対する一般の人々の偏見、すなわち「心の障壁(バリアー)」を取り除いていくことが重要であるという認識が強調され、定着しつつある。このような考え方は、母子福祉や勤労福祉、児童福祉といった、他の福祉領域にも拡げられるとともに、生活全般におけるノーマライゼーション思想、すなわち障害者も健常者もあたりまえに暮らしていけることとして広がりをみせつつある。
したがって、「ノーマライゼーション」を基本とした福祉・健康づくりのためのネットワークの構築、ボランティアなどによる住民の自主的地域社会活動の活発化、マンパワーの育成・確保、福祉教育の促進などは、今後の地域福祉・保健への取組において不可欠である。
(2)生活習慣病と国民の健康づくり
わが国における死亡数、患者数、医療費のいずれをとっても、がん、脳卒中、心臓病などの生活習慣病は最も大きな割合を占めており、また、こうした疾病が今後ますます大きな課題となっていくものと予測されている。
こうした疾病の発症や進行には、現代人の生活のあり方が深くかかわっており、偏った食生活、運動不足、喫煙、過労など現代人にみられがちな不健康な生活習慣そのものが疾病の要因となっているという問題を提起しており、市民一人ひとりが自らの生活習慣をみつめ直し、どのように行動するか、そして地域や行政がそれをどのように支援していくかが問われている。