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ウ 販売体制づくり

 

地域特産品の開発は、全国的なブームになっており、生産委譲に販売力の強化が重要な課題となっている。その一つの対応が女性や高齢者を活用した人件費の削減であるが、大崎上島ではこれ以上に、シンボルとしての販売拠点の整備が重要である。そのため、東野町が構想している「海の駅」や木江町の天満港で計画している「物産館」の整備による地域産品のワンストップショッピングの体制づくりが必要である(このような拠点施設づくりによって、商品群のPR効果も期待できる)。そして、このような来訪者を対象にした販売体制に加えて、サイバーモールの形成やふるさと産品宅配事業をコーディネートしていくことが望まれる。また、この他にも、島内のレストランやホテル、民宿などで地元農水産品を食材として活用する仕組みづくり(食のアピール)、キャンプ客などへの食材供給システムづくりなどが望まれる。

島外での販売拡大のためには、地元での観光客に対する販売実績を積むことによって、販売業者にとっても魅力に感じられる商品に育てることが必要であり、併せて、販売ルートの拡大に伴う流通在庫・返品リスクの拡大に耐えられるような体力が必要である。それだけに、島内での販売拠点づくりがまず望まれる。

 

エ 観光資源の多様化へのコーディネート

 

現在の夏期の海水浴客を中心とする観光客の多様化を図るために、観光施設整備による拠点化、農業の観光農園化、漁業の遊漁船化、イベントのシリーズ化、景観形成、住民参加型の地域の美化などへの取組が望まれる。このような取組は、行政ばかりでなく、農業者、漁業者、住民など多様な主体の協力が必要であるだけに、コーディネート機関の整備が望まれる。そして、観光資源の多様化を受けて「島内・島嶼間モデル回遊ルートづくり」を行うこと、また、この回遊ルートの有効性を高めるために、共通割引チケットづくりなどをコーディネートするなどの取地が望まれる。

 

オ 情報発信

 

情報発信を行うためには、まず、上で述べたような観光資源の多様化を図ることによって発信すべき情報を豊かにしていくことが必要である。情報発信の方法としては、観光マニュアルの作成、ホームページなどの電子情報発信、パンフレットやレターの発行など多様なものがある。第2章で事例検討を行った中国山地県境市町村連絡協議会(県境サミット)では、地域のガイドブックでパンフレットやレターの発行など多様なものがある。

 

 

 

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