2 地域課題への対処の方向
前節で述べた大崎上島の現況・動向に係わる課題や将来の社会環境の潮流による課題に対処していくための方向としては、下記に示す事項への対応が求められる。
1] 高齢者が安心して暮らせる地域づくり
大崎上島では、平成17年には65歳以上の高齢者が概ね2人に1人に近い割合となると推定される。大崎上島・下島では、高齢化社会の進展に対応し、これまで施設型福祉サービスの充実に努め、また、中山間地域活性化計画においても、要介護サービスを中心とした福祉サービスの充実が計画されている。
しかし、要援護や要介護を必要としない心身ともに元気な高齢者への行政施策は、皆無である。高齢社会にある大崎上島においては、要援護・要介護の支援に加えて、介護を必要としない元気な高齢者が生き生きとした暮らしができる取組が望まれ、全ての高齢者が安心して暮らせる地域づくりが緊急の課題となっている。
2] 産業の育成と就業の場づくり
大崎上島での人口減少は、島内での雇用機会の減少によるものである。人口減少は、また、諸サービス機能の低下をもたらし、諸サービス機能の低下がまた、雇用規模の縮小を導くといったラスパイレスの下降循環構造となっている。
こうした構造を断ち切り、地域の存続を図るためには、産業の育成が必須条件であり、また、高齢者の生きがいづくりにおいても、大崎上島での貴重な人材である高齢者の登用の場が望まれる。
3] 他地域と比べて遜色のない教育・文化でのサービス水準の確保
大崎上島での定住を促すためには、他地域と比べて遜色のない教育・文化などでの行政サービスを必要とする。文化・スポーツなどにおける行政サービスは、都市部との格差を埋めるという尺度ではなく、島ならではの生活様式を確立するための行政サービスの提供が重要である。
一方、教育は人の一生を左右する問題であり、子弟の教育力をつけるために本土に子弟を住まわせる家庭もあるという実態を踏まえると、いずれ対処していこうとする姿勢は許されない問題であり、大崎上島における地域教育力の向上に向けての行政サービスは緊急の課題である。