第7章 乗り入れの実現に向けて
天竜市が、第4次総合開発計画の後期基本計画(計画期間、平成12〜16年度)の策定のために実施した、市民・事業所意識調査(「天竜市市民意識等調査報告書」平成11年1月)において、事業の経営上、実現を期待する具体的施策として「遠鉄電車の中心市街地への乗り入れ」が最多(15%)の回答を得た。まさに、遠鉄電車の乗り入れに関しては、事業者を中心に、市民の間に根強い期待があり、その実現に向けて一層の努力と工夫が求められているところである。
このような期待感が高まる中、これまで、鉄道乗り入れとまちづくりのあり方について検討を行ってきたが、乗り入れの実現のためにはまだ乗り越えなければならない課題がある。
そこで、本調査の最後として、これらの課題について整理し、その解決方法を探るとともに、関係する各主体別にその課題を整理する。
1. 課題の整理
(1) 遠州鉄道の乗り入れの意義
本来、鉄道乗り入れについては、鉄道事業者である遠州鉄道と天竜浜名湖鉄道の双方で調整を図るべき問題であり、行政が前面に出てきて主導するのはおかしいという議論がある。
しかし、遠州鉄道の乗り入れは、単に、地域の公共交通の再編・整備にとどまらない意義をもつものである。すでに検討してきたように、交流人口の拡大や本市のまちづくりのあり方に大きな影響を与え、本市の将来にかかわる重要な問題となっているのである。
この点については、第2章で述べたとおり、本市の第4次総合開発計画の重点プロジェクトとして、位置づけも明確にされているところである。
また、静岡県最大の都市であり、最大の経済圏を誇る浜松市へ、鉄道により直結するということは、本市民の生活の足の確保にとどまらず、浜松広城圏において、本市がより重要な位置や役割を果たすことが可能となる点において、意義深いものがある。