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・オープンスペースの確保によって、普段たむろできるスペースや賑わい・潤い演出の場を確保する

・中心地人口の回復が必要であり、低廉な都心賃貸住宅の整備、良質な都市型住宅の整備、高齢者のための公的住宅の整備、など

・高齢者などの弱者の移動の便向上に向けた総合交通体系の整備

・パーク&バスライドなどの中心市街地への効率的な移動手段の確保

・公的集客施設の整備が必要である。具体的には、福祉、医療・健康、生涯学習、などの公益施設や文化、観光、娯楽、スポーツなどのアミューズメント型施設の整備である。

 

次には、都市の顔・アイデンティティを再構築することによって、それぞれの地域らしさをアピールすることに関わる課題である。この課題に関しては以下のような方向での取組が必要であろう。そのためには、地域特性を象徴する要素の洗い出しと個性ある街づくりへの活用、地域特性の打ち出しに向けた活用の方向の検討(ストーリーづくり)、統一的な街並み景観の形成、などが必要である。

 

3点目は、商店街・個店自体の魅力付けへの取組を促進するための課題である。中心商店街の商業者の取組を軸に考えていくと、その商業集積は当然のことながら商圏の購買力に依存している。一般には、

【中心商店街の活力・規模=商圏の大きさ(A)*商圏内購買力の捕捉率(B)】

という関係が成立している。これまでみてきたように、現在の状況は、既存の中心市街地に対して競合する商業集積や大規模店が出現することによって競争が激化し、これまで商圏として確保していた地域の購買力の捕捉率が低下している、という両面で変化が生じているということである。すなわち、(A)が一定であるのに対して、郊外型大規模小売店の開店やロードサイドなどに新しい商業集積が形成されることによって(B)が低下し(しかも、これに加えて、都心部居住者の郊外への転居、中心市街地居住者の高齢化などにより、(A)そのものが小さくなっていくことがこの問題をより加速する場合もある)、その結果、商業者の経営意欲が低下し、商店街の魅力が失われることによって(A)までもが低下しているという状況である。したがって、3点目の課題は、この(B)を大きくしていく方策という形態をとることになる。この課題に関しては以下のような方向での取組が必要であろう。

・商業者の側からする街づくり推進体制構築であり、権利調整などの伸介機関としてのTMO整備や個店あって商店街なしという一般的な商店主の意識をリーダーの行動に近づけていく仕掛けづくりを行い商店街再生に向けて活動するリーダーをサポートする体制づくりが必要である。また、そのためには中心市街地再生の基本方針の策定によって将来イメージの共有を図ることが必要である

・楽しさを演出できる、情報発信のできる魅力ある店舗の展開により歩行者の増加を図ることが必要である。これによって、新しい商品情報に触れることを目的とし、買い物を目的としない来訪者の増加をも図り、賑わいの創出を図る

・都市の顔を担う中心市街地の商業者に都市の発展を担うという意識啓発を行い、経営意欲の向上を図る。また、商店の新陳代謝の促進を図る仕組みづくりが必要である

・共同店舗の整備などやる気のある商業者のための条件整備に向けた共同事業の実施

・中心市街地の業務・都市型産業機能の強化・育成

 

 

 

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