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ウ 相互決済資金その他

 

先に指摘したとおり、ロシア連邦財務省の公表する構成主体予算などへの連邦財政資金移転の規模には「移転資金」(Transfer)だけが含まれている。しかし、構成主体の予算・決算では、「連邦予算から移転された資金」が歳入中のきわめて大きな額を占めている。その理由については第2節でも若干触れたが、次のような資金の流れが、構成主体の予算には「連邦予算からの移転資金」として一括して反映されている可能性が高い。

 

(ア) 相互決済資金

 

定義としては、連邦政府の決定に伴い、構成主体や地方自治体が一定の支出を求められる場合、それを補填するために連邦予算から支出される資金である。実際には、きわめて多様な資金が、この形態に含まれている。一例を挙げれば、連邦政府の決定に基づいて、地方自治体は住宅・公共サービス部門での受益者負担率を段階的に引き上げている。その際、受益者の負担額については、世帯総所得の一定割合を超えてはならないとの規定が連邦政府の決定に含まれている。したがって、低所得世帯から徴収できない公共料金については、連邦予算から補填される必要がある。

 

(イ) 連邦目的別プログラムによる支出

 

連邦政府が特定の産業や地域の経済・社会発展を目的とするプログラムを採択すると、その実施に必要な資金のうち、連邦政府負担分は連邦予算の「目的別プログラム」に対する支出の項に計上される。この資金は、プログラムの実施対象の存在する構成主体の予算に移転され、構成主体予算から支出されることになっている。

 

(ウ) 連邦財政資金による融資

 

日本の「財政投融資制度」に梅当するものはロシア連邦には存在しないが、連邦の一般会計予算から、財務省と個々の構成主体行政府との契約に基づき、融資が行われている。

 

 

 

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