温暖化防止レジームのような場合特にそうである。二酸化炭素排出が直接的に住民に影響を与えることがないため、排出防止を敢えて行わなくても企業イメージを損なうこともないからである。
したがってもう少し実効性のある経済的手法を用いた施策があってもよさそうなものである。たとえば税/課徴金による負担的方法は自治体によって可能だろうか。これもこれまでの例が参考になるかも知れない。ところがこれまでこうした方法の例は極めて少ないのである。
自治体アクターによる税/課徴金的な方法の数少ない例としてあげられるのが砂利採取税である。たとえば千葉県の富津市では砂利採取税を採取事業者にかけている。この税は、砂利採取のトラックの通行などによる外部不経済の分だけ発生者に税という形で負担してもらうということを眼目として設置された。形としてはピグー税に近い形をしている。一種の迷惑税である。
その他これに近い形の税が自治体アクターによって採用されている。それではこれを温暖化レジームで自治体が用いることができるであろうか。
自治体アクターによる経済的手法の限界
現在自治体アクターが採用することのできる税/課徴金的な方法は、法定外普通税を用いた方法であるとされている。富津市の砂利採取税を初めとする自治体アクターが現実に採用している課税方法は、ほとんどが法定外普通税を用いたものである。その他「超過課税」という方法もあるがほとんど用いられていない。
従って、仮に自治体アクターが国内の温暖化防止レジームを地域レベルで積み上げ的に強化しようと思っても、税/課徴金による方法としては恐らくこの法定外普通税を用いるしかないであろう。しかしながら今までのところ、法定外普通税は、自治体アクターにとってそう容易に用いることのできる手法ではない。法定外普通税の新設にあたっては、あらかじめ自治大臣の許可を受けなければならず、事実上課税権に制約を付与されているからである(東京都職員研修所1996、18-19ページ)。