これに対して、効率の良し悪しにかかわらず一律の削減率を割り当てる図表2-5の場合には、中小都市と比較して大都市部でより努力が求められることとなる。このとき、必要削減率が一律であるにも関わらず、各施策の必要量が都市規模により異なるのは、自動車の分担率の相違による。
3 施策の検討
(1) 施策類型
地球温暖化防止の施策は、A技術施策、B制度施策、C啓発施策に分けると考えやすい。
A技術施策
自動車技術
インフラ技術
マネジメント技術
B制度施策
非経済的施策
経済的施策
C啓発施策
A技術施策には、自動車のエンジンを中心とする技術や道路、鉄道などインフラの技術、インフラの使い方を管理する交通マネジメント技術がある。最新では、情報通信技術を応用したITS(Intelligent Transport System)によるインフラのインテリジェント化により、より効率のよい交通マネジメントが可能となってきている。
B制度施策には、排ガス規制、車の流入規制などの非経済的な施策と、自動車関連税、運賃制度など経済的施策がある。
さらに、アイドリングストップなどの個人の意識を高めるC啓発施策がある。
環境負荷を根拠とした自動車関連税の強化などは、人々の環境意識の高まりをもたらし、それを介して、個人の交通行動、経済行動を変化させる啓発施策にもなっているといえよう。また、カリフォルニア州での各自動車会社への将来のゼロエミッション車販売台数の義務づけが、日本やアメリカの自動車会社の低公害車開発意識を高めた。これらの個人や企業の啓発は、インセンティブ効果と呼ばれる。