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地方自治体の所管地域は決まっているが、エネルギー需給がそうであるように、地域内の生活や事業活動で使用する製品の生産や製造が、国内の他の地域や外国で行われることも多い。従って、地方自治体における地球温暖化対策の推進にあたっても、その地域にとどまらず、それが国内の他の地域や外国に及ぼす影響も考慮することが必要である。

しかし、現実問題として外国には日本の法制度は及ばず、統計数値等のデータ入手も難しい場合が多い。COP3の京都議定書でも温室効果ガスの排出削減目標は国単位であり、国際間は排出権取引、共同実施等で調整されることとなっている。従って、地方自治体における地球温暖化対策は、国内の排出状況を勘案して推進することが現実的である。

 

(4) 関係者の理解と実践に向けた体制づくり

 

我が国が排出する温室効果ガスの大部分はCO2であり、そのほとんどはエネルギー消費、即ち企業の経済活動や国民の生活に起因するものである。単純にCO2排出を規制することは経済活動や生活の低下をもたらすものであり、その意味で、温室効果ガスの排出抑制は従来の公害規制とは全く異なる問題である。

地球環境の保全、エネルギーの有効利用、そして活力ある経済活動と国民生活を調和させるという難しさ故、関係者の関心と理解そして実行が必要である。

地方自治体が先導役となり、エネルギー消費者である市民と事業者、エネルギー供給事業者、学識経験者、そして地方自治体を構成員とする話し合いの場を設け、そこでの議論を実践に移すという体制づくりが必要と考える。

 

 

 

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