(2) CO2削減策は長期的な対策と短期的な対策と組み合せたものにする。
我が国、特に地方レベルでCO2削減策を選定する際に、再認識すべき重要な背景が2つある。1つは、人口の推移である。我が国は、国レベルで見ても2020年代には今から2,000万人もの人口減少が見込まれている。東京都と神奈川県の全人口がいなくなるという意味である。地球全体では人口増加が著しいが、日本という国では状況が異なるのである。地方レベルで見れば、2020年代には一つの村、あるいは町すらも消滅する可能性があるのである。
第2は、自動車についての技術開発の動向である。CO2削減に向けて自動車の燃費改善技術が日・米・欧の3地域で本格的に始まったのは、ここ数年である。(8)自動車の開発は、基礎的な研究開発から実用化までが10年〜15年かかることを考えると、2015年〜2020年頃には、現在よりも2〜3倍燃費の良い自動車が普及する可能性が高いのである。
こうした社会、及び技術の変化を考慮すると、地方レベルでは、短期的な対策に重点を置き過ぎ、目前のCO2削減を性急に図るのではなく、町や村の構造そのものをエネルギー多消費型から、今流に言えば、持続的発展が可能な型へ変えていくための土地利用分野での対策等の長期的な対策を基本とし、それに短期的な対策を組み合せていくという姿勢が必要と考える。