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4 CO2削減策の選択への提案

 

交通分野での課題は、CO2削減に加え、交通事故、渋滞、騒音・振動、局地的大気汚染等が存在していること、これらの課題の中でCO2削減が最も対応が難しい課題であることを述べ、次いで交通分野でのCO2発生には、交通そのものに加え、土地利用の配置や密度が大きく影響していること、そして、多くのCO2削減策の中で、特に地方レベルでの取り組みが期待されているCO2削減策は、土地利用分野での対策、及び協定等の民間の自主的活動を用いた対策であり、前者は、現在の国レベルの対策の中では考慮されていないこと、後者は、逆に主要な対策として期待されていることを述べてきた。

ここでは、こうした議論を受け、地方レベルで、これからCO2削減策を選択、決定していく際に考慮すべきではないかと考える視点を4つに整理し、提案することにする。

 

(1) CO2削減だけでなく、複数の目標を同時に満たす対策を選定する。

 

現状での交通分野における対策の選定順序を単純化すること、まず交通の第1の目標(ほとんどの場合、移動のしやすさである)を財源の制約下で、最も効率的に達成する対策が選択される。もし、この対策実施によって、交通上の課題(例えば、大気汚染)が社会的に認められた水準を越えて悪化してしまう場合には、社会的に認められた水準にまで課題を改善するための対策が選定され実施される。

こうした現状の対策の選定順序では、全ての課題は、社会的に認められる最低の水準までしか改善されないことになる。さらに移動のしやすさでは(対策1+対策2)よりも低いが、課題の水準は良い対策3は選定されないし、移動のしやすさでは(対策1+対策2')よりも低いが、現状よりも移動のしやすさも課題の水準も良くなる対策3'も選定されないことになる。CO2削減策の選定に際しては、対策3や対策3'が選定できるよう対策の作成過程を工夫することが必要である。

 

 

 

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