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国は、平成10年6月「地球温暖化対策推進大綱」を決定し、2010年に向けての地球温暖化対策の方向を明示した。対策の総合的推進、エネルギー対策を中心としたCO2排出抑制対策、その他の温室効果ガスの排出抑制対策、植林等のCO2吸収源対策、ライアスタイルの見直し等を積極的に推進することが示されているが、国のみならず地方公共団体、事業者、国民と全ての主体が積極的に取り組むことが不可欠である。

「地球温暖化対策推進法」第4条に地方公共団体の責務が規定されているが、地方公共団体は、1]自ら排出する温室効果ガスの排出抑制等、2]区域の住民、事業者の活動の促進のための情報提供等、3]その他の自然的、社会的条件に応じた措置を講じることが求められている。

環境基本法に基づいて策定された環境基本計画では、「循環型社会の構築」、「すべての主体の参加」を長期目標としている。また持続可能な社会を構築する基礎は地域環境の保全であり、地方公共団体は地域の自然的、社会的条件に応じて、取組の目標・方向等の設定、提示等の国に準じた施策やその他独自の施策を自主的・積極的に策定し、総合的に展開することなどが期待されている。地域環境の保全には地球環境保全への取組が含まれていることは言うまでもない。地球温暖化対策が不確実性が存在することをもって遅延させることは許されることではなく、不可逆性を考慮すれば緊急かつ最重要の課題である。

我が国は、かつての高度経済成長期に大気汚染や水質汚濁等の産業公害を経験してきたが、地方公共団体はこうした公害問題の解決に当たり国に先駆けて先進的な取組を実践してきた経験を有している。

地方公共団体のこうした実績や環境保全の知識、ノウハウは極めて貴重なものであり、こうした経験を地域社会の特性に応じて地球温暖化対策にも活用し、積極的な取組が期待される。

地方公共団体は、環境基本条例や地域環境基本計画を制定し地域環境の保全に積極的な取組を推進しているが、自治体は持続可能な社会の担い手として、地球環境保全(地球温暖化対策)にも取り組む必要性がある。

地方公共団体は、その区域の自然的・社会的条件に応じた温室効果ガスの排出抑制等のための施策を推進すると共に、自らの事務・事業に係わる温室効果ガスの排出の抑制等のための措置を講じなければならない。

また、その区域の事業者・国民が温室効果ガスの排出の抑制等に関して行う活動の促進を図るため、指導・情報の提供を行う等の措置を講じることが求められている。

本調査研究委員会は、以上のような趣旨に基づいて目的を達成する一助となるよう、地球温暖化防止に向けての地方公共団体への施策提案又は施策立案の参考となる課題について、委員会において各委員からご報告を頂き、討議を行い、それぞれの分野について各委員の責任においてとりまとめを行ったものである。

 

 

 

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